OracleのMySQL取得に対し、ストールマン氏や創業者が反対意見を表明
米Oracleによる米Sun Microsystems買収が「MySQL」に与える影響について、リチャード・ストールマン氏は、2つのNPOと共同で執筆した公開書簡を発表した。欧州委員会の競争政策担当委員にあてたもので、「買収を承認すべきではない」と助言している。
Free Software Foundation(FSF)の設立者、リチャード・ストールマン氏は10月19日、米Oracleによる米Sun Microsystems買収が「MySQL」に与える影響について、2つの非営利団体(NPO)と共同で執筆した公開書簡を発表した。書簡は欧州委員会(EC)の競争政策担当委員、ネーリー・クロース氏にあてたもので、「買収を承認すべきではない」と助言している。
この書簡は、ストールマン氏、Knowledge Economy International(KEI)の代表者ジェームス・ラブ氏とマリニ・アイソラ氏、Open Rights Group(ORG)のジム・キルロック氏が共同執筆したもの。ECは先に、OracleによるSun買収に対し、MySQLの将来を懸念としてさらなる調査を進めることを発表している。
書簡のメインの主張は、「OracleがMySQLを取得することはデータベース市場の競争を制限することになる」というもの。例えば、MySQLは商用ライセンスとGPL v2のデュアルライセンス方式で提供されているが、GPL以外でコードをライセンスできるのはOracleだけであり、価格や提供はOracleの一存で決定されることになると警告している。また、Oracleは商用ライセンスからの売り上げをMySQL機能開発に充てる義務はなく、MySQLの機能と性能の進展が進まなくなる可能性もある、としている。一部が予想するように、たとえフリーソフトウェアとしてフォークして開発が進んだとしても、デュアルライセンスでは提供できないと問題点を指摘している。
OracleとMySQLの市場は重なっていないという意見に対しては、Oracleは古いデータベースで独占的立場にあり、新しい世代のデータベースではMySQLの存在は大きいとし、Oracleにとっては利害の衝突があるとしている。
OracleによるMySQL取得については、MySQLの設立者でオリジナルコードの作者、マイケル・“モンティ”・ウィデニウス氏(フィンランドMonty Program)も同日付けで反対意見を表明している。ウィデニウス氏も利害の衝突を指摘し、「ECの懸念は最もなことだ」としている。そして、解決策として、Oracleに対しサードパーティーに売却するよう提案している。
一方、MySQLの元CEO、マーテン・ミコス氏は今月はじめ、Oracleが取引を早期に完了することこそMySQLの競争力のためになるとする意見を発表していた。
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