競馬の最新オッズ情報を取り出す端末のリニューアルでサービス品質を向上――日本中央競馬会:導入事例(2/2 ページ)
日本中央競馬会(JRA)が、全国10カ所の競馬場およびWINSなど37カ所の場外勝馬投票券販売所に約1200台設置している専用の情報端末がオッズボックスである。従来は文字放送信号を専用インタフェースで受信する方式をとっていたが、第2世代の端末はLANによるIP通信方式を採用。最新ハードウェアへの更新とともに、運用管理の強化が図られた。
1日に約24万枚の情報出力
第2世代オッズボックスの導入当時、阪神競馬場におけるお客様サポートの担当としてシステムのカットオーバーを迎えた、JRA お客様事業部 システム統括室 統合情報システム課 統合情報システム係の竹田祐一郎氏は、次のように語る。
「いくらシステムの機能が向上したとしても、お客様が操作に戸惑ってしまったのでは意味がありません。第2世代オッズボックスへのリプレースにおいて危惧したのも、まさにその点でした。しかし、良い意味で大きな変化は起こさず、お客様に違和感を与えることなくスムーズに新端末を使っていただくことができました」
実際に第2世代オッズボックスは、1日に24万枚(端末1台あたりの全国平均約200枚/日)という情報出力の実績を上げており、利用者からも「使い勝手が良くなった」といった声が寄せられるなど、評判は上々の様子である。「幸先の良いスタートを切ることができ、私たちもホッと胸をなでおろしました」と竹田氏は顔をほころばせる。
その一方で大きな成果を上げたのが、運用管理や監視体制の充実である。
「第1世代オッズボックスでは、すべての端末を一台一台回って電源をオン/オフしなければならなかったのですが、第2世代では計算機室に設置されたiOSサーバから一斉にオン/オフ制御を行うことが可能となりました。セキュリティ強化をはじめ、省電力の観点からも大きなメリットとなっています」(尾崎氏)
一般メディアでは得られない“現場”ならではの情報提供を目指す
2010年4月現在、JRAは各地に展開している合計約1200台のオッズボックス端末のほぼすべてを第2世代に置き換えており、近日中にその作業が完了する。そして今後を見据えてJRAは、これらの第2世代オッズボックスによる情報提供サービスの多角化に向けた取り組みも検討している。
「現段階では具体的な構想が固まっているわけではありませんが、競馬場やWINSまで足を運んでくださったお客様に対して、テレビ中継やインターネットなどのメディアからは得られない、“現場”だからこそ生きる情報提供のあり方を考えています」(竹田氏)
「競馬はとても奥が深く、単なるギャンブルとしての枠にとどまるものではありません。誰もが気軽に楽しめるエンターテインメントとして、あるいはヨーロッパやアメリカなどで国際レースも開催される世界的なスポーツイベントとしてなど、さまざま側面を持っています。こうした競馬の面白さを、より多くの人に知っていただくためのコンテンツの拡充や情報提供形態の多様化が、私たちの目標とするところです。そのプラットフォームとして何が使えるかと足元を見渡した時、すべての競馬場やWINSに展開されているオッズボックスが、最有力の候補となるのです」(尾崎氏)
2010年6月にリニューアルオープンする函館競馬場にもオッズボックスは設置される予定だ。オッズボックスのさらなる進化に向けて、JRAの絶え間ないチャレンジが続いている。
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