日本企業と世界市場の距離を縮めるグローバルサイト:世界で勝つ 強い日本企業のつくり方(2/3 ページ)
日本企業の海外展開においては、グローバルサイトを持つことが必要になる。グローバルサイトが販売チャネルやマーケティング活動の窓口となり得るからだ。本稿では、ビジネスと密接に結び付くグローバルサイトの構築法を伝える。
上場企業のグローバルサイトの多言語化状況
まず、日本企業が持つWebサイトはどれだけ多言語に対応しているかを見ていこう。アークコミュニケーションズは、東証一部上場企業1732社に対してグローバルサイトの多言語化状況を調査し、グローバルサイトの所有率とそこで使われている言語の関係を明らかにした。
順位 | 言語 | 所有率 |
---|---|---|
1 | 英語 | 72% |
2 | 中国語(簡体字) | 17% |
3 | 韓国語 | 8% |
4 | 中国語(繁体字) | 7% |
5 | ドイツ語 | 6% |
6 | フランス語 | 6% |
7 | スペイン語 | 5% |
8 | イタリア語 | 4% |
9 | ポルトガル語 | 4% |
10 | ロシア語 | 4% |
図表:東証一部上場企業グローバルサイト多言語化状況(出典:アークコミュニケーションズ 2010年5月) |
最も対応が進んでいる言語は英語であり、上場企業におけるグローバルサイトの所有率は72%だった。2位の中国語(簡体字)は17%、それ以外の言語は10%を切るなど、英語以外のWebサイトの所有率は少ない。
3位に韓国語、4位に中国語(繁体字)がランクインしているのは、アジアに属する日本企業ならではの特徴といえる。ちなみに簡体字は中国本土、繁体字は台湾・香港・シンガポールなどの圏内で使われる言葉で、おおまかにいえば漢字の表記が異なるものだ。
その他トップ10に入った言語は、全世界での主要言語やBRICsで使われる言葉が入っている。また地域の近さから、類似言語(スペイン語、イタリア語、ポルトガル語)などのグローバルサイトが併せて作成されていることが分かる。
業種ごとに見る多言語化への対応状況
続いて、業種ごとの傾向を見てみよう(業種によって企業数にばらつきがあることを差し引いて考える必要がある)。英語サイトの所有率が90%を超えたのは、グローバル規模でサービスや商品を提供している業種が主だった。具体的には、全日本空輸や日本郵船などの空運業・海運業、トヨタ自動車や本田技研工業などの輸送用機器メーカー、ニコンやオリンパスなどの精密機器メーカー、キヤノン、ソニーなどの電気機器メーカーである。
対応言語数で見ると36カ国語に対応している本田技研工業を筆頭に、20カ国以上の言語に対応したグローバルサイトを運用する企業は20社以上に上った。そのほとんどを占めるのは、輸送機器、電気機器、精密機器業種の企業である。一方、小売業や不動産業、建設業、銀行・証券業、サービス業といった国内を主要な市場とする業種は、グローバルサイトの所有率が60%以下と低い(詳細は「上場企業コーポレートサイトの多言語対応状況 調査レポート(アークコミュニケーションズ)」を参照)。
この結果から国内企業のグローバルサイトの多言語化状況を評価すると、(1)東証一部上場の企業ではせめて、英語サイトの所有率は100%であるべき、(2)東証一部上場企業では既に6割が中国に進出している点を踏まえても、中国語サイトの所有率はせめて60%はあるべきといえる。
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