プライベートクラウドの目的:TechNetブロガーの視点
もしあなたがプライベートクラウドの定義に関心を持っているのなら、TechNetブロガー 高添修氏のブログが役に立つかもしれない。プライベートクラウドを理解するための入門者向けエントリーを紹介する。
(このコンテンツはTechNet Blog「高添はここにいます」からの転載です。エントリーはこちら。なお、記事内容はすべて筆者の個人的な見解であり、筆者が勤務する企業の立場、戦略、意見等を代表するものではありません)
プライベートクラウドについてセッションを重ねるうちに、わたしなりに整理が進んできていますので、そろそろきちんとお伝えしようと思います。
先日投稿した「通販から学ぶプライベートクラウド」に書いた「表と裏」については、なんとなくでもよいので頭の中に入れておいていただければ幸いです。
まずは、ざっくりとプライベートクラウドの目的から整理をすると、この2つに集約されるだろうと思っています。
例えば、プライベートクラウド=仮想化をイメージしている人は、「仮想化することである程度の自動化が進み、それがコスト削減につながる」と考えている気がします。
方向性としては間違っていませんし、クラウドをより意識していけばIaaSに近づいていくはずです。
ただ、パブリックなクラウドにあるようなPaaSやSaaSからクラウドを意識した人からすれば、「しょせん、それは仮想化の話でしょ?」と思うでしょう。
プライベートでもPaaSやSaaSは可能ですし、IaaSとまで行かない仮想環境をクラウドと呼びたくないという反応も分かる気がします。
ただ、クラウド=雲は、形があってないようなものだと割り切って、ざっくりとまとめたのが上の2つです。
現在のITでは100%の自動化が無理なように、サービス化にも100点はありません(相手がいるからサービスなので)。
だから、プライベートクラウド実践に向けて、この2つを意識し、実現に向けて努力をしていくことが重要なのだと思うのです。
こんなイメージでしょうか。
そして、ここで終わると意思表明みたいになってしまうので、「クラウドを実現するという大きな視野で、戦略的に進めたい」という方のために要素を加えておきましょう。
それをまとめたのがこちらです。
- 2つの要素
- ITの自動化
- 仮想化の枠を超えた自動化の基盤を用意
- ITのサービス化
- 利用者目線でのサービス提供
- 利用者のニーズを吸い上げる(社内マーケティングの)仕組みを作ることによって、企業内で必要とされるITのサービス化を図る
- ガバナンス
- クラウドの時代、サービスの迅速さにおいて外部のクラウドベンダーには勝てない可能性は高い
- そのような状況において、社内のサービスを使ってもらう理由が必要となる
- その理由を作るには、使いたくなるサービス提供の努力が必要
- 社内が同じ方向に向かって、徹底的なコスト削減のために社内のプライベートクラウドを使い倒そうとするガバナンスが重要になる
このガバナンスの重要性を理解することによってプライベートクラウド化の進み方は違うと思われます。
ただ、ガバナンスと言っても、押さえ付けるのではなく、社内をコントロールするイメージが望ましいと考えています。
戦略的ITの実現には、予算と権限を持ち、企業におけるITの重要性を理解できるCIOが必要だと言われますが、この、政治的なことも含めてプライベートクラウド実現に向けて何ができるか? をあらためて整理をすると、
1. ITの機能で実現できるもの
2. 社内マーケティングによって実現できるもの
3. 政治力(CIO)が必要なもの
があるわけです。
- 3(CIO)という大きな味方がいるのであれば、ぜひとも1〜3を実現してください
- 「うちには3がいない」と嘆く方は、まずは1によってコストを削減しつつ、2によって利用者を味方につける努力をしてみてください
- 2もよく分からないというのであれば、せめてITによる徹底的な自動化を図ってください
- ちなみに、仮想化は要素技術であってゴールではありません。ゴールは仮想化も物理環境も、アプリケーションも含む徹底的な自動化です
新年でもあるので、今回を第1回目の投稿と考え、まずは目的と進める上で必要なものについて整理をしました。参考になる部分があれば幸いです。
次はプライベートクラウドの4つの要素について投稿します。
【修正履歴】冒頭の但し書き文末に「)」を追加。2011/1/7 15:00
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