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運に導かれ運を築くオルタナティブな生き方 谷川耕一さん(2/3 ページ)

ITや電子書籍、エコロジーなどの話題を、分かりやすく解説・考察するブログ『むささびの視線』は、その優しい文体に特徴がある。ITmedia オルタナティブ・ブログ開設以来の人気ブログ筆者の谷川耕一さんも、その文章のように優しい人だった。

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 僕、どうも本番に弱いところがあるみたいで(苦笑)。なぜか普段と違うことをしちゃうんですね。大学受験のときも、普段は1問ずつ解いてはマークシートを塗っていたのに、共通一次に限って全問解いてからマークシートを塗っていった。終わって見直したら見事に一問ずれていて、どこからずれ始めたのかもう分からない。就職試験のときも、初めての英語の辞書持ち込みOKの試験で、馬鹿丁寧に辞書を引いて時間がかかりすぎて、半分も終わらなかったんです。

 テレビ局の試験に失敗して、さぁどうしようかなと。多分、建築、土木のデベロッパー系企業であればまだ研究室推薦で就職できたのでしょうけれど、そっちには行きたくなかったので、就職情報誌をめくって大学院枠のある企業をピックアップして就職活動を始めました。

 当時はIT系企業が院卒採用に積極的だったので、自然とIT系企業を回るようになりました。ある企業の説明会でいきなり、「このなかに筑波大学の谷川さんいらっしゃいますか?」と呼び出されましてね。どうやら優秀なOBがいたらしく「筑波の院生が来たぞ、絶対とれ!」みたいなことになっていたらしいんです(笑)。AI(人工知能)が華やかなりしころで、エンジニアになるつもりはなかったのですが、AIなら面白そうかなと入社を決めました。

 当時のAIは、「人工知能」を作るというのではなく、エキスパートシステムの構築が主流でした。それを作るエンジニアはSEではなくKE(Knowledge Engineer)なんて呼ばれていましたっけ。専門家に話を聞いて、一般化したノウハウをルールにかみ砕いて、それを取り込んだシステムを構築する。精密機械メーカーの仕事をしていたんですが、新人の若造にその道うん十年のベテラン技術者の方々がさまざまなことを丁寧に教えてくれた。エキスパートシステムを構築していた期間は、極めて有意義な時間でしたね。それと、仕事とは別に、社会人とは何たるかを教えられたのもこのころです。先輩諸氏にはずいぶんとしごかれました。どんなに飲んでも翌日の朝は会社に来い、とにかく来ればあとはトイレで寝ててもいいとか。

 そのような環境で3年ほど勤めたのですが、自分はやっぱりエンジニアじゃないなぁと感じてしまい、やはりメディアに行きたい。そこで、せっかくだから身に着けたコンピュータ知識を生かそうとアスキーに転職しました。

 アスキーでは『UNIX MAGAZINE』という雑誌の編集を担当しました。高度で専門的な内容で、にもかかわらず紙の印刷物に対するこだわりを持っている雑誌でした。顧問に他社で人気小説家を育てた経験あるベテラン編集の方がいて、その方に編集の基礎や編集者としての心得みたいなものすべてを教わりました。とてもいい経験をしたと思います。


ニックネームやブログタイトルにもなった「むささび」

 「むささび」の愛称もこのころからです。オートキャンプのメーリングリストに参加していたのですけれど、自己紹介で「むささびが好き」といったら「むさ、むさ」って呼ばれるようになって。当時のハンドルネームは面白かったですよ、大のおっさんが「ねこ」とか「くまち」とか呼び合ったり。「ししゃも」っていう人もいたな、子だくさんだからって(笑)。

 仕事柄どうしても拘束時間は長くなるけれど、23時ころ退社できる日はよく飲みに行きました。校了後にはツーリングやキャンプに行ったりと、忙しい中で時間をやりくりしてプライベートも結構楽しんでいました。バイクは大学に入ってから免許を取り、キャンプは院に進学してから始めたものです。スポーツも好きで、高校時代に始めた軟式テニスは大学進学後も母校に教えに行きました。そのときの後輩がオルタナブロガーの青葉さんです。他にもラグビー観戦にスノーボード。気がつけば多趣味になっていた感じです。スノーボードはカナダで全行程ヘリというツアーに参加したこともあります。ツアー代だけで60万円位かかったかな。

 アスキーで4年ほど勤めたころ、そろそろ違う媒体の仕事がしたいなあと思うようになったのです。そんなときに前職の知り合いが声をかけてくれて、マーケティング担当としてオラクルに転職することになりました。データベースのことはあまりよく知らなかったんですけれど。最初の会社では筑波の院生だから優秀だろう、今回もアスキーだからマーケティングも広告も知ってるよね、と周囲が勝手に誤解してくれちゃって。面白いものですよね。

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