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【第3回】IT導入でやってはいけないことまるごと! 中堅・中小企業とIT経営(2/4 ページ)

今回は、中堅・中小企業がITを導入する際にしてはいけないことを、失敗事例を紹介しながら説明する。

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IT導入で失敗した事例

 次に、実際の企業での失敗事例を見てみよう(図表2-1)。一般の失敗事例としてはよくある話なので、自社のIT導入時の参考にしてほしい。

<strong>図表2-1</strong> IT導入の失敗事例
図表2-1 IT導入の失敗事例

事例1:建材製造業(売上高50億円、従業員300名、工場3カ所)

 生産管理システムはシステム会社に独自開発してもらったものを10年以上使っていた。今回、生産管理システムを再構築することで、競争力を高め環境変化に対応していくと考えた。対象システムは生産管理、購買管理、原価管理、会計管理の4つ。システム導入の目的は、「工程の細かな管理を実施することでコストダウンを達成し、価格競争力を高めていくこと」である。予算は1億円以内を想定し、プロジェクトチームを作ってスタートした。

 社内で組成したプロジェクトチームにより、RFP(提案依頼書)を作成して既存システム会社に加え3社に対して提案をもらうことにした。それぞれの提案を聞いた結果、パッケージソフトを有効活用するという点でA社に決定した。

 要件定義は約3カ月間。元々自社の生産管理に沿って作られたシステムを使っていたため、パッケージシステムとは合わない部分が出てきて、そのつど開発を追加してもらっていった。開発といっても、選定したパッケージソフトは柔軟に対応できるということが売りだったため、担当SEは首尾よく対応してくれた。その後、システム開発をスタートし、テスト段階に入ることになった。

 テストをスタートすると、現場から現状のやり方と違うことに対する不満が上がってくる。今までのシステムでは簡単にできていたことが、新システムではいちいち確認ボタンを押したり、細かい数字の入力をしたりといったことが求められるという。ただし、元々のシステム導入の目的が工程の細かな管理であるので、各工程で細かくデータをとるのは当たり前のことである。

 結果的に、現場の細かな要望に対して追加開発を行い、システム稼働までの納期を遅らせた。システム導入費用は当初計画の約1.6倍になってしまった。

失敗原因

 システム導入の目的そのものは問題なかったが、システム設計をする段階で現場の作業の変更など、現場との調整が足りなかった。

 また、現場の声に対応して追加開発を多く実施してしまったことも原因である。システム会社は追加開発をしてくれといわれれば、よほどのことがない限り断ることはしない。

 このケースは、元々独自開発のシステムを使っている企業がパッケージシステムに移行する場合に発生する典型的な例といえる。

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