多数のWebサイトが個人情報を無断で漏出――米研究者が調査結果を発表
Wall Street JournalやPhotobucketなど、調査対象サイトの6割以上が、何らかのユーザーデータをサードパーティーに提供していることが、スタンフォード大学法科大学院の調査で明らかになった。
米Wall Street Journalや米Photobucketをはじめとする多数のWebサイトが、訪問者の名前やメールアドレスなど何らかの個人情報を、広告主などのサードパーティーにユーザーに無断で提供している――。スタンフォード大学法科大学院の研究者、ジョナサン・メイヤー氏が10月11日(現地時間)、そのような調査結果を発表した。
調査は、米インターネット調査会社Quantcastによる米国のトップ250サイトから、無料のサインアップが必要で、調査に関連しない機能があまり搭載されていないという条件で選んだ185のサイトを対象に実施した。全サイトにダミーのユーザーデータでサインアップし、関連データを収集して個人情報の流れを追跡した。
その結果、185サイトの61%に当たる113サイトで、ユーザー名あるいはユーザーIDがサードパーティーに漏出していたという。こうしたデータを受け取っているサイトのトップ5は以下の通りだ。
- 米comScore(81のサイトから入手)
- 米GoogleのGoogle Analytics(78のサイト)
- Quantcast(63のサイト)
- Googleのdoubleclick.net(62のサイト)
- 米Facebook(45のサイト)
漏出側で最も多くのWebサイトにデータを提供しているのは米News Corp.傘下の写真共有サイトPhotobucketで、31のサイトにユーザー名を提供している。次はホームセンターチェーン大手の米Home Depotで13サイトにユーザーの名前とメールアドレスを提供。3番目はWall Street Journalで、7サイトにユーザーのメールアドレスを提供している。
メイヤー氏は、これらのWebサイトはプライバシーポリシーでこうした個人情報の提供について明示していないと指摘する。
米国では、インターネットでの消費者のプライバシーを保護するための「Do Not Track(追跡拒否)」システムが検討されているが、これに反対する企業も多い。そうした企業は、広告表示などに利用するユーザーデータはアノニマス(個人が特定できないもの)になっており、無害だと主張している。
メイヤー氏はこの調査結果が、サードパーティーによるWeb追跡はアノニマスではないことを示しているとし、Do Not Trackシステムは法的に義務付けるべきだという。
関連記事
- 「顔認識技術で個人の社会保障番号まで割り出せる」――米研究者が発表
- Mozilla、「Firefox 5」の正式版をリリース Android版にも「Do Not Track」
- Facebookアプリから広告主に情報流出、ユーザー情報にアクセスされた恐れも
- Google、「Google Analytics」による追跡を解除するプラグインを公開
- FTC、Webユーザー向け「ネットでの行動追跡拒否」システム提案
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.