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【第1回】感性に頼ったマーケティングから抜け出せ!ビッグデータ時代を勝ち抜くマーケティングコミュニケーション(2/3 ページ)

新連載では、デジタル化が進むマーケティングコミュニケーションにおけるデータ活用について重要となる考え方を、具体的な事例を交えて示していきます。

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マーケティングコミュニケーションのPDCAサイクル

 PDCA(企画→実行→評価→改善)の概念自体は特に目新しいことではなく、企業のマーケティングコミュニケーションの現場においても、日々取り組まれていることです。では、デジタル化が進み、さまざまな種類のデータを大量に取得できるようになった今、そのデータを日々のPDCAにどのように活用していけばよいのでしょうか。データをうまく活用することで、より効果的なPDCAサイクルの推進が可能になります。ここではPDCAの各ステップのポイントをお伝えします。

PLAN

 企業がマーケティングコミュニケーションのプランニングを行う際には、当然何らかの問題を解決したいという意図や達成したい目的があるはずです。ただ、その際の問題の特定や課題の抽出が、担当者の属人的な“経験や勘”に基づいて行われることも多いのではないでしょうか。

 商品やブランドの問題や課題を見出すためには、さまざまなデータを客観的に分析することが必要です。売上データや消費者調査に加え、ソーシャルメディア上での評判や自社サイトのアクセス解析データ、さらには広告の投下量や反応率など、マーケティングに示唆を与えてくれるデータはさまざまです。個人の思い込みを捨てて、さまざまな視点から定量的かつ客観的に問題を特定することが必要になります。

 過去の実績を基にした効果予測のシミュレーションを行いながら綿密なプランニングを行うことも重要になります。シミュレーションというと大げさに聞こえるかもしれませんが、大まかにでも、プランニング時点で効果やボトルネックの想定をしておくことで、実行後の軌道修正も迅速にできるようになります。

DO

 言葉の定義としては「DO=実行」ですが、この実行フェーズにおいて小さな軌道修正を積み重ねていくことが重要です。施策を実行してから、最終的な結果が出るのをただ待つのではなく、施策実施中にKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を高頻度で管理して、改善アクションを実行していくということです。数カ月〜年間単位といった長期にわたるコミュニケーション施策については、高頻度でモニタリングを行い、改善を図れる部分は速やかに改善するといった考え方が必要になります。

 場合によっては、この軌道修正を見越した上であらかじめそのための予算を確保しておくということも有効で、そうすることで速やかに修正施策を実行できます。過去に当社でお手伝いさせていただいたある消費財メーカーでのキャンペーン事例では、「サイトへの集客量」「集客後のキャンペーン応募率」「応募者の属性(ターゲットとの適合)」というような観点からデータ分析を行い、施策開始直後にボトルネックを特定、事前に確保していた予算で改善施策を実行しました。この軌道修正により、ボトルネックと判断した部分に20%以上の改善効果を得ることができました。

CHECK

 施策終了後は効果検証によって、ROI(Return On Investment:費用対効果)や事後の課題を明確化します。効果検証というと、「成果の良し悪し」の判断にとどまりがちですが、大切なのはその背景にある要因を明らかにして事後の活動に生かしていくことです。

 そのために必要なことは、さまざまなデータの統合、管理だと考えています。売上データは経営企画や営業部門、消費者調査は調査部門、そのほか広報宣伝部門、Web関連部門、お客様センターなどと、大企業になればなるほどさまざまなデータを各部門が断片的に保有、活用しているケースが多いものです。一方で、コミュニケーション施策の成否には、いろいろな要素が複合的に絡んでいるもの。それらをいかに統合し、多角的に効果を検証できる「仕組み」をつくるかが重要になります。

ACTION

 CHECKフェーズで抽出した課題や蓄積されたナレッジを基に、以降のマーケティング活動を修正していきます。正直なところ、データ分析によって最初から大きな発見があるということは少ないかもしれません。ただ、小さな改善点や仮説は必ず見つかります。その小さなナレッジを蓄積していくことが、データを活用したマーケティングで競争優位を築いていく唯一の方法であると考えています。

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