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キヤノンマーケティングジャパンが挑んだ災害復旧対策の裏側:震災3カ月でDRサイトを立ち上げ(2/2 ページ)
東日本大震災では数多くのデータセンターが被災し、企業の業務に大きな影響を与えた。キヤノンマーケティングジャパンは震災後3カ月で災害復旧(DR)サイトを確保するなど、事業継続に不可欠なIT環境の整備を進めている。
成功の理由と見えた課題
前述のようにDR計画は、その準備だけでも長い時間を要する。キヤノンMJが短期間で計画を実行に移せたのは、2007年のアセスメントでBCPの実効性や課題を洗い出し、対応を強化していた点が大きい。それでも実際のDRに直面して、見えた点が少なくないという。
結城氏が今回のDRの主な成功要因として挙げたのは以下の点。
- ITインフラの標準化、サーバ仮想化を進めていたこと
- 冗長構成がシンプルであったこと
- サーバのIPアドレスを変更していないこと(ネットワークルーティングで対処)
- バックアップするデータ量の抑制
- 過去に激甚災害を経験したグループ企業のノウハウの活用
- 3段階による計画の実施
一方、実際にDRを発動して結城氏が苦労したという点は次のようなものだ。
- 調達が難しいシステムがあったこと
- 業務部門とIT部門での意識のギャップ(復旧の優先順位やスピード間など)
- DRサイトでの人材の確保や育成(解消に向けて取り組み中)
- パフォーマンスの確保や障害特定などの難しさ
- 大型台風の襲来でスケジュールが遅延
- ネットワーク帯域の確保
アセスメントの結果から、必要な業務システムを短時間かつ無理ない形でどう確実に復旧させるかというイメージを明確にし、CIOに積極的に関与して必要な環境作りを平時から準備していた。アセスメントはDRに対する経営陣の理解も促すことになり、今回のケースでは迅速な意思決定を可能したという。なお、沖縄のDRサイトは、平時は開発環境として運用する。
結城氏は、「今回の事態にアセスメントの結果が非常に役立ったこともあり、まだという企業はぜひ行っていただきたい。課題が見え、すぐに行動も起こせるようにもなる。継続的に自社のITインフラを見直し、段階的に対応していくことが重要」とアドバイスしている。
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