インメモリDBに本腰 エリソンCEOが取り組み語る:Oracle OpenWorld San Francisco 2013 Report
富士通に続いてオープニングキーノートに登場したOracleのラリー・エリソンCEOは、新たなデータベースオプション機能を発表。「インメモリによって、既存ユーザーのDBにおけるクエリは超高速化する」と繰り返した。
9月22日(現地時間)の夕刻、ここカリフォルニア州サンフランシスコのモスコーニセンターにおいて、米Oracleは年次カンファレンス「Oracle OpenWorld San Francisco 2013」を本格的に開幕した。
2年連続となった富士通 豊木則行執行役員常務のオープニングキーノートに続き、拍手喝采を浴びてOracleのラリー・エリソンCEOがステージに登壇した。エリソン氏は同社の主力製品である「Oracle Database」が本格的にインメモリデータベース(DB)領域に進出することを力強く宣言した。
クエリ速度が100倍以上に
昨年の同イベントで発表されたマルチ・テナントアーキテクチャ採用のデータベース(DB)最新版「Oracle Database 12c」。これが1年経たずして早くも機能強化する。今回アナウンスされたオプション製品である「Oracle Database In-Memory Option」によって、Oralce DBにインメモリ機能を搭載できるようになった。
具体的には、行指向である従来のリレーショナルDB(RDB)に加えて、列指向であるカラム型DBという2つの異なるフォーマットに対して同時にデータを保管できるようになる。双方のフォーマットを維持することで、行を更新すると列も更新されるため、データの一貫性や整合性が保てるのだという。加えて、カラム型DBをインメモリにすることで、これまでと比べて100倍以上もクエリが高速化するとしている。
「データはインメモリで保存、圧縮されるため、2つのDBを同時に動かしてもオーバーヘッドにはならない」(エリソン氏)
こうしたメリットを享受したい場合、既存のOracle DBユーザーであれば、データマイグレーションしたり、既存システムを設定変更したりする必要もなく、In-Memory Optionのスイッチをオンにするだけで、すぐにあらゆる既存アプリケーションを高速に走らせることが可能だという。
「今使っているDBのクエリ速度を100倍に、データのアップデートを2〜3倍に高速化することが容易だ。一方で、DBの信頼性やセキュリティは同等レベルを保証する。オプション機能のスイッチを入れるだけで、それ以外は、例えば、DBのコピーをしたり、アプリケーションテストしたりしなくてもいい」(エリソン氏)
新たなエンジニアド・システムも
さらに、エリソン氏は、インメモリDBを備えた新たなハイエンドサーバ「M6-32 Big Memory Machine」を同日から提供開始することを明らかにした。
同製品はプロセッサ最新版「SPARC M6」と32テラバイトのDRAMメモリを搭載。M6は、1プロセッサ当たり12コア、96スレッドとなり、コア数は前バージョン「M5」の2倍に相当する。個々のプロセッサは384ポートのシリコンスイッチングネットワークで相互接続しており、そのバンド幅は毎秒3テラバイトという大量データ通信が可能だ。
そのほかにも、同製品をベースにした汎用エンジニアド・システム「M6-32 SuperCluster」や、DB専用に設計されたバックアップおよびロギングアプライアンス製品「Oracle Database Backup,Logging,Recovery Appliance」も発表された。
本キーノートで発表された新製品については、カンファレンス2日目以降のゼネラルセッションなどで詳細が紹介される予定だという。追ってレポートしていく。
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