データベースの革新は止めない 分析とOLTPを同時に高速化:Oracle OpenWorld San Francisco 2013 Report
年次イベント「Oracle OpenWorld San Francisco 2013」、2日目のゼネラルセッションでは、Oracleのデータベース責任者であるアンドリュー・メンデルソン氏が、データベース関連製品の現状を解説した。
米Oracleがカリフォルニア州サンフランシスコで開催中の年次カンファレンス「Oracle OpenWorld San Francisco 2013」は、9月23日(現地時間)に2日目を迎えた。
午前のゼネラルセッションでは、前日に同社のラリー・エリソンCEOからアナウンスがあったインメモリデータベース新機能「Oracle Database In-Memory Option」を含めたデータベース(DB)関連製品の現状とアップデートについて、データベースサーバ技術担当 シニアバイスプレジデントのアンドリュー・メンデルソン氏が説明した。
メンデルソン氏は「Oracleがデータ活用のためのプラットフォームを提供する。ユーザーはビッグデータのインフラ基盤について特に考えなくてもよい」と強調した。
最新版DBの「12c」にインメモリ機能を
セッションの冒頭でメンデルソン氏は、昨年にリリースしたDB製品の最新版「Oracle Database 12c」について改めて解説。クラウド対応を念頭に新しいアーキテクチャによって設計された同製品は、DBレイヤーを「マルチテナント型コンテナDB」として、その上に複数のプラガブルDBという仮想的なDBを収納できるもの。「従来は業務システムごとに分かれていたDBを1つのコンテナDBに統合した。また、12cではDBそのものを仮想化して、プラグのように自由に抜き差しできるようになった」とメンデルソン氏は述べる。
これによって、すべてのDBに対してボタン1つでアップデートやバックアップ、リカバリーなどを適用でき、結果、運用管理コストの削減につながるのだという。また、スナップショットによって既存DBのクローニングを瞬時に行うことができるため、12cを使って開発テスト環境を構築したいというユーザーも多いそうだ。
次に、メンデルソン氏は、Oracle Database In-Memory Optionに触れた。同オプションは、リレーショナルデータベース(RDB)とカラム型DBを同時並行かつインメモリで利用することが可能となる。すなわち、リアルタイムにアドホック分析やオンライントランザクション処理(OLTP)を行えるというわけだ。
従来のトランザクションシステムは、データを膨大に生成するものの、データを分析するには、バッチ、手動、または個別のシステム処理が必要だった。カラム型のインメモリDBを組み合わせることでこうした課題を解消する。
「Oracleは長年にわたりRDB製品のイノベーションに努めてきた。今回採用したインメモリはDB領域で最新技術となるが、決してROW(行)を捨てるわけではない。ROWにカラム型を組み合わせることで分析を高速化し、OLAPのパフォーマンスも大幅に改善する。アプリケーションを書き直す必要もない。インデックスの作成も不要だ」(メンデルソン氏)
同オプションを用いた場合、2ソケットサーバのシングルコアで1秒当たり71億件以上のROWデータを処理できるという。同オプションは2014年中にリリースを予定する。
膨大なDBを漏れなくバックアップ
メンデルソン氏はバックアップアプライアンス新製品「Oracle Database Backup,Logging,Recovery Appliance」についても言及した。
同製品は、データのバックアップやロギング、リカバリのためのエンジニアド・システムで、ビジネスデータのロスを防ぐことを主目的に開発されたものだ。「どの企業もデータのバックアップを行っているが、多くはDBファイルをその対象としているため、バックアップ時のタイムラグによって最新のデータに更新できていない恐れがある」とメンデルソン氏は指摘する。そうして引き起こされたデータ損失は、深刻な状況を招き、ビジネスをダウンしかねないという。
そこで同製品では、DBのログデータをバックアップ対象とすることで、更新と更新の間の差分のみを取得、反映してタイムラグを防いでいる。
また、アプライアンス製品という特徴によって、短期間でデータのバックアップシステムを構築できるほか、ユーザー企業のシステム環境に応じて、オンプレミスとクラウドのいずれでも利用できるとしている。
「高い拡張性や柔軟性を持つため、たとえ何千ものDBクライアントがあっても十分に活用できるのだ」(メンデルソン氏)
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