MicrosoftとOracleのクラウド事業提携、担当者が現状を報告:Oracle OpenWorld San Francisco 2013 Report
今年6月に発表されたクラウド事業の提携について、MSとOracleの担当者が背景や方向性などを説明した。
米Oracleと米Microsoftは9月25日(現地時間)、カリフォルニア州サンフランシスコで開催中の年次カンファレンス「Oracle OpenWorld San Francisco 2013」において、クラウド事業に関するプレス向け共同説明会を開いた。
両社は2013年6月にクラウド事業で戦略的に提携。現在は以下のような取り組みを行っている。
- Oracleのソフトウェア製品を「Windows Server Hyper-V」と「Windows Azure」で利用可能に
- Windows AzureでJavaをフルサポート
- Oracle製品ライセンスをWindows Azureに移行可能
- Windows AzureでOracle Linuxを起動可能
MicrosoftでWindows Azureのゼネラルマネジャーを務めるスティーブン・マーティン氏によると、クラウドに関する連携は2012年から話を進めていたという。「これまでもWindows Serverでオラクル製品を走らせていた。クラウドでも利用したいというユーザーニーズの高まりを受け、今回の発表に踏み切った。顧客を中心に考えた結果だ」とマーティン氏は経緯を説明する。
Oracleでビジネス開発担当バイスプレジデントのジャビエル・カブレリーゾ氏も、「顧客のためにプラットフォームの選択肢を増やすことは重要である」と応じる。
パートナーシップによるメリットや成功の指標は何か。メリットについては、今まで両社が提供してきたクラウドサービスにおける課題点を共有し、改めて顧客のニーズを洗い出すことができる点だとする。また、提携成功のKPIについては、「データベースなどのインストールベース増加による収益アップ」とカブレリーゾ氏は述べる。
Azureなどに「Oracle Database」が搭載されることで、Microsoftのデータベース製品「Microsoft SQL Server」と競合するのではないかという懸念に対して、マーティン氏は「今回の協業はあくまでもクラウド事業提携の始まりであり、現状でできる話は限られている。今後、市場の動きや顧客の要求を見ながら検討していきたい」と言う。現状の枠組みが適切かどうかを判断するためには、多くのユーザーの声に耳を傾けていくべきだとする。
カブレリーゾ氏も「あくまでも提携の第一歩に過ぎない。両社ともこれから営業組織に対してこの取り組みをグローバル展開する必要があるし、顧客に対してもメリットをアピールしていかなければならない」と強調した。
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