「私はSiriでした」──米国版“中の人”がCNNでカミングアウト
「iPhone 4S」から搭載された音声によるパーソナルアシスタント機能「Siri」の米国版の声は自分が録音したものだと、ナレーターのスーザン・ベネット氏が名乗り出た(iOS 7から別の声になっている)。
「友人からのメールで、自分の声がSiriに使われていることを知りました」──。ジョージア州アトランタ在住のナレーター、スーザン・ベネット氏はこう語っている。米CNNが米Appleのスティーブ・ジョブズ氏の命日である10月5日の前日に掲載した「I'm the original voice of Siri」という記事でのことだ。この記事には、ベネット氏がSiriに語り掛ける動画も掲載されている。
iOS 7では米国版Siriの女性の音声は他の人の声に変わっているが、2011年に発売された「iPhone 4S」に搭載された初代Siriは、ベネット氏の声という。
AppleはSiriの声の担当者名を本人にも明かしておらず、CNNからの問い合わせにもコメントを拒否しているが、CNNが解析を依頼した専門家も“完全に一致する”と保証した。
ベネット氏は当初、カミングアウトするつもりはなかったが、米ブログメディアのThe Vergeが他のナレーターをSiriの声だと推測する記事を掲載して混乱が起きているのを知り、また、英国やオーストラリアの“中の人”が名乗り出ているのをみて、発表することにしたという。
ベネット氏は学生時代にはバート・バカラックのツアーにバックコーラスとして参加するなど音楽活動をしていたが、1970年代からナレーターの仕事に従事してきたベテラン。銀行のATMやアトランタ空港のアナウンスなど、多数の声を担当してきた。
同氏は2005年6月、米ScanSoft(後にSiriの音声認識技術を担う米Nuanceに買収された)からナレーター紹介を求められた米GM Voicesを介して「発話を構築するためのデータベース用の声の録音」の契約をした。録音は、7月いっぱい、毎日4時間かけて行われた。意味のない言葉の断片を延々と録音するのは退屈で、「Siriが時々ちょっと生意気そうな声になるのは、4時間の最後の15分に収録したパーツを使っているところだと思う」と笑う。
ベネット氏自身も現在iPhoneを使っており、初めてSiriに話し掛けたときは少しぞっとしたという。Siriが思い通りの答えをくれないときは、他の人と同様にいらいらするが、絶対どなりつけたりはせず、自分(の声)が毎日何度も罵倒されているのだろうと気に掛かかると語った。
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