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Windows XPの移行よりも先にIT担当者が直視すべき3つの事実萩原栄幸の情報セキュリティ相談室(1/2 ページ)

来年春にサポートが終了するWindows XPに移行対応に取り組む企業は多いだろうが、肝心なことを見落としてしまっているケースが少なくない。移行する前に考慮しなければならない点を取り上げる。

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 今回は、最近になって急に相談が増えてきたWindows XPの移行対応についてである。“そもそも論”として勘違いしている情報セキュリティ担当者やシステム管理者があまりに多いのだ。具体的な移行方法についてはあらゆるところで紹介されているので、それぞれの環境に即して最も適切なものを活用される方が良いだろう。そこで、あまり表には出て来ない話題を取り上げたい。

有料セミナーにて

 昨年から急増しているセミナーのテーマが「Windows XP移行」である。世間の注目を浴びようと、明らかにおかしい内容や、企業人が絶対に真似をしてはいけないというレベルの内容のものが混在していたり、ビジネスチャンスと考えている一部の企業のWebサイトには「誇大広告?」と思える内容や数字が乱舞したりしている状態だ。この業務を実際に担当している方の中にも、そう感じる方が多いに違いない。

 筆者自身もこのテーマでセミナーを開催し、一部企業でそのご支援をしている状況にある。技術面に関してはネットなどで豊富な情報が手に入るので、ここでは企業の担当者や管理者がまず考えるべき重要なことについて述べたい。まずXPをどう移行するのかよりも、XP以前の古いOSをどう整理するのかについて、先に検討すべきだ。

 実際に数年前、ある製造業の顧問をしていて気が付いたことがあった。この企業ではロボット制御に関するパラメータの設定と、そのためのフロッピーディスクの作成を行うために1台のPCが片隅で動いていた。なんと、NECのPC-98である。

 顧問期間中に一度、そのPCがハングしたので秋葉原に出向いた。昔の「秋葉原ビットイン」の後継店などに出向いたが、同じ型番はなかった。出入りしているシステム系業者に依頼したら、「再開発ですので、少なくとも300万円ほどかかります」と言われた。当然ながら、企業の経営者は「我慢して使え」といわれる。そして、中古市場で安いPC-98を探して、移植することを検討してほしいと要望された

 大企業では考えられないかもしれないが、中小・零細企業はこういった対応によって倹約をしている。そこにアベノミクスの効果が届くのは、まだまだ先のことだろう。この企業のような酷いケースに至らないまでも、中小・零細企業ではかなりの規模のWindows 3.1や95、98、そしてXPが現役で活躍している。探せば上場企業の中にもDOSのまま使っている部分がまだ見つかる。これが現実だ。

 経営者の考えは簡単・明瞭である。「なぜ不具合もなく、今日も使えるものに対してわざわざ高い金を払うのか(ある経営者は『1万円以上は全て高額』と話していた)。そんなことをしてリスクを高めるのは馬鹿しかいない」というものだ。それに、Windows XPが最新の機器であるという企業は多々存在している。

 システム管理者は、どうやって意識を変えればよいか。特にB to CではなくB to Bの企業の場合、お得意先とのコミュニケーションが電話やFAX、そしてあまり使われていないメールというのなら、その説得は極めて困難である。「ウイルスに感染したようだ」と話すと、相手は「ネットが使えるのはこの1台のPCだけだ。感染していてもインターネットは使えるだろう。メールなんかみていないし……」となる。

 こうこういう職場のシステムを預かる管理者は、「PCは壊れるまで使う」ことを前提に仕事をする。だから、世間のセミナーに参加する必要性は無い。経理システムと在庫管理システムさえ動けば、それでいい。それよりも消費税8%への対応の方が大変なのだから。

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