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XP移行の前に立ちはだかる大きな壁さよならWindows XP、そしてWindows 8.1へ(2/4 ページ)

Windows XPから新しい環境への移行において、さまざまな問題にぶつかるケースが生じている。単にOSの移行だけでは済まない問題をひも解いてみたい。

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OSだけの問題では無いWindows XPからの移行

 Windows XPからの移行が大変なのは、このように幾つかの要素が絡まっているからだ。

 Windows XPは、マイクロソフトのクライアントOSとしては、長期にわたって提供されていたため(後継OSの開発がうまくいかなかったなど、様々な事柄があった)、多くの企業で使用されている。また、Windows XPが普及した時期とオフィスのコンピュータ化を重視する時期が重なったため、Windows XPに依存したカスタムアプリケーションが数多く開発され、利用された。

 この時代に作られたカスタムアプリケーションは、どちらかといえばオフコンやメインフレーム自体の考え方で作られたため、OSのアップデートが4〜5年で起こったり、サポート終了によりセキュリティ問題が起こることは考えられていなかった。このため、Windows XP以外のプラットフォームは全く考えずに開発されていた。

 カスタムアプリケーションは、開発から10年以上が経ち、開発自体を請け負った会社が存在しなかったり、開発時のソースコードやドキュメントが散逸したりして、ブラックボックス化してしまい、新しいOSへ移行しようにも、「どうしようも無い……」ということが多い。

 まず、社内にWindows XPで動作しているカスタムアプリケーションがどれだけ存在しているのかを調査する必要がある。マイクロソフトは、「Microsoft Assessment and Planning Toolkit(MAP Tool)」というソフトウェアを無償提供している。このソフトウェアは、エージェントレスで、ITシステム上に存在するクライアントPC、サーバなどのハードウェアを検知したり、それぞれのコンピュータでどのようなアプリケーションが動作しているのかを検知して、リスティングする機能を持っている。

 MAP Toolなどを利用して、現状を知る必要がある。また、実際に各部門に出向いてヒヤリングをすることも大切だ。MAP Toolなどで知ったハードやソフトがどんな用途で使われているのか、重要度がどのくらいあるのかが分かる。

 アプリケーション面で問題になるのは、Internet Explorer(IE) 6に依存した業務アプリケーションやOffice 2003上で構築されたマクロやアドインなどだ。インターネットが普及し、Webアプリケーションや3階層アプリケーションなどが2000年代に数多く開発された。このとき、クライアントPCにはWindows XPが使われていたため、IE 6が標準ブラウザとして利用された。このため、IE6独自の規格や機能などを使ってWebアプリケーションが開発された、IE 6でしか動作しないといった状況になっていた。

 新しいOS上でも、IE 6自体をアプリケーション仮想化というテクノロジーで動かすことも技術的には可能だが、マイクロソフトでは1つのOS上で複数のIEを動かすと言うことをライセンス的には認めていない。例えば、Windows 8.1上でIE 6を利用するためには、仮想環境でWindows XPを動かし、その上でIE 6を動かすことになる。

 ライセンス的なことを考えれば、IE 6対応のWebアプリケーションをIE 11やHTML5対応へと改修していくべきだろう。また、これを機会にIEだけでなく、FirefoxやChorme、SafariなどのWebブラウザでも動作するWebアプリケーションにしていくことが必要になる。複数のWebブラウザに対応することで、Webアプリケーションの利用をPCだけでなく、スマートフォンやタブレットにまで広げていくことができるようになる(その分、各ブラウザのアップデートなどにも気を付ける必要がある)。

 Webアプリケーションの作り方もあるが、ロジックとUIがごちゃごちゃになっているシステムは、変更に手間がかかるものの、普通はキチンと切り離されているはずなので、UIの変更は難しくないだろう(一部、ActiveXなどのプラグインを使用している場合は移行の難易度は上がる)。

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