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優れた「人材」を武器に観客を呼び込む米大手映画館チェーンIBM Connect 2014 Orlando Report(2/2 ページ)

オーランドのIBM Connect 2014は2日目を迎えた。Notes/Dominoが今年のジェネラルセッションで語られることはついになく、主役の座はKenexaに取って代わられた。ステージには、Kenexaを活用して成果を上げているAMC Theatresの前チーフ・ピープル・オフィサーが登場した。

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離職率200%に悩まされた大手映画館チェーン


ジェネラルセッションに登場したAMC Theatres

 カンザス州リーウッドに本社を置くAMC Theatresは、米国第2位の映画館チェーン。全米で約350の映画館を営業し、観客数は年間2億人に上るが、娯楽が多様化する中、そのビジネスは難しさを増している。同業他社はもちろんのこと、デジタル化によって登場するさまざまなホームエンターテインメントも手ごわいライバルとなりつつあるからだ。

 AMC Theatresでも一部の映画館でリクライニングシートを導入したり、食事スペースを設けるなど、観客を呼び込もうと努めている。しかし、肝心なのはハードウェアではなく、実際に観客に接することの多いアルバイトのスタッフや、彼らを束ねるマネジャーだ。そう話すのは、同社で29年働き、先ごろまでチーフ・ピープル・オフィサーの職にあったキース・ウィーデンケラー氏だ。

 「われわれのビジネスでは、ライバルの映画館でも同じ映画が上映されている。差別化のカギは素晴らしいサービスの提供だが、離職率が200%と高く、先ずは優れた人材の獲得が急務だった」とウィーデンケラー氏。

 研修プログラムで優れた人材を育てようにも在職者の2倍もの人が辞めてしまう現状では、先にやるべきことがある。AMC Theatresの理念やその提供するサービスに適した人たちを採用することだ。ウィーデンケラー氏は、Kenexaを導入し、オンラインのツールで応募者をスクリーニングすることから始めた。

 Kenexaは優れた成果を上げ、離職率を90%にまで抑え込むことに成功、観客の評判も改善し、アンケートで「満足」と回答してくれた人も43%から53%に増えたという。

行動分析をマネジャー昇格の意思決定に生かす


AMCで29年働くキース・ウィーデンケラー氏

 ただし、映画館によってこの「満足」回答率にばらつきがあることも分かった。

 「映画館運営の良しあしは店舗マネジャーにかかっている。“満足”という回答が8割のところもあれば4割のところもある。われわれはIBMのテクノロジーを活用し、優れたマネジャーの行動分析を行い、研修に生かしたり、だれをマネジャーに昇格させるべきかの意思決定に生かした」とウィーデンケラー氏。

 優れた人材が店舗のマネジャーに就くことで、現場のスタッフの仕事に対する取り組み姿勢も改善され、それによって、例えば売店の売り上げが大きく伸びるなどして、キャッシュフローを20%近く改善できたという。

 AMC Theatresは、さらに観客を呼ぶ込むためにリクライニングシートの増設や食事スペースの改修などに多額の投資を行う計画を立てており、昨年末にはニューヨーク証券取引所に上場することで3億ドルを超える資金を調達した。恒例のオープニングベルを鳴らす晴れがましいセレモニーには、同社で約30年働いたベテラン、ウィーデンケラー氏の顔もあった。

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