ソフトバンク、T-Mobileの買収を断念か──Wall Street Journal報道
ソフトバンク傘下のSprintが検討してきたT-Mobileの買収を断念したとWall Street JournalやBloombergが伝えた。当局による承認を得るのが非常に困難だという判断という。
ソフトバンク傘下の米Srpintが、交渉中の米T-Mobileの買収を断念したと、米Wall Street Journalが8月5日(現地時間)、情報筋の話として報じた。Sprintの取締役会が同日、独禁法当局などからの承認を得るのが困難過ぎると判断したという。
Sprintは米通信キャリアとしては3位、T-Mobileは4位。ソフトバンクの孫正義社長はかねて、SprintとT-Mobileが一緒になれば、VerizonとAT&Tによる寡占状態である米モバイル通信市場に健全な競争をもたらし、ひいては米国のネット環境の改善が可能になると主張してきた。
SprintとT-Mobileは7月、米連邦通信委員会(FCC)が来年実施する予定の新たな周波数帯の競売で上位2社に対抗する目的で合弁会社を設立し、入札すると報じられていたが、FCCは8月1日、公式ブログで、新規参入企業に機会を提供する目的でこうした共同入札を禁止する意向を表明した。
米Bloombergによると、Sprintは明日にもダン・ヘッセCEOの退任を発表するという。同社の4〜6月期の売上高は前年同期から減少したもののアナリスト予測は上回り、顧客流出は24万5000人とアナリスト予測を下回った。
なお、T-Mobileに対しては仏Iliadも買収を提案しているが、Wall Street Journalによると、T-Mobileはこの提案を退けたという。
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