ガートナーが説く「デジタルビジネス」の勘どころ:Weekly Memo(1/2 ページ)
ガートナーが先週開いたプライベートイベントで、ITビジネスならぬ「デジタルビジネス」が今後進展することを強調した。デジタルビジネスとは何か。この変化に対し、IT部門は今後何を求められ、考えなければならないようになるのか。
業務部門が新しい技術で“起業”する時代に
「デジタルビジネスの進展により、企業におけるすべてのビジネス部門がテクノロジースタートアップになる」
こう語るのは、米Gartnerのシニアバイスプレジデントでリサーチ部門の最高責任者を務めるピーター・ソンダーガード氏。ガートナージャパンが2014年10月28日から3日間、都内のホテルで開催したカンファレンスイベント「Gartner Symposium/ITxpo 2014」で講演を行うために来日し、メディア向けに記者会見を開いた際の発言である。
この発言は、少々言葉の意味を説明しておいたほうがよいかもしれない。ガートナーによると、まず「デジタルビジネス」とは「仮想世界と物理的世界が融合され、モノのインターネット(IoT)を通じてプロセスや業界の動きを変革する新しいビジネスデザイン」と定義している。
また、「テクノロジー」はデジタルテクノロジーを指しており、「モバイル、クラウド、インフォメーション(とビッグデータ)、ソーシャルの4つの力の結節を“Nexus of Forces”と呼び、さらにIoTやスマートマシンなど革新的なものを中心としたテクノロジー群」を意味している。
加えて、ビジネスにおける「スタートアップ」という言葉は、ベンチャー企業の立ち上げなどで使われることが多い。ただ、本来の意味は「企業規模にかかわらず、新しいビジネスモデルを開発し、短期間で立ち上げて成長を狙うこと」を指す。
つまり、デジタルビジネスと呼ぶ新しい世界では、企業のすべての業務部門が革新的な技術を用いて“起業”し、新しいビジネスを創造していく形になる、というのが発言の意図である。
ソンダーガード氏は、デジタルビジネスが企業にもたらす影響についてこうも語っている。
「デジタルビジネスの進展によって、従来の業務プロセスに携わっているワーカーの数は、2018年までに半減するだろう。その一方で、デジタル化に向けた業務が同時期までに現在の5倍以上に急増していくだろう」
つまりは、従来の仕事が減る一方、デジタル化に向けた仕事が急増するというわけだ。なぜ従来の仕事が減るのか。この点について同氏は、「デジタル化は従来の業務プロセスをどんどん自動化する効果ももらたす」からだと説明した。
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