PaaSとの融合を見据えたIBMのIaaS戦略:Weekly Memo(1/2 ページ)
日本IBMがIaaS「SoftLayer」を活用した業界・業務別ソリューションを打ち出した。「今後IaaSとPaaSは融合する」との見方がある中で、同社の新戦略の思惑はどこにあるのか。
日本IBMがSoftLayerの事業強化策を発表
日本IBMが11月12日、パブリッククラウドのIaaS「SoftLayer」を活用した新たな戦略展開を発表した。システム構成や運用機能設計、セキュリティ情報などを業界・業務別にまとめた「業界業務プロファイル」を用意し、各分野の要件に迅速に対応しようというものだ。
日本IBMクラウド事業統括担当の小池裕幸執行役員によると、「SoftLayerはオープンな技術をもとに、用途に応じて共有型でも専用型でも使用でき、企業が利用するアプリケーションの要件に合わせた選択肢を提供するIaaSだ。この特徴を生かしてさらに業界・業務ごとの要件に応じて最適なクラウド基盤環境を提供し、顧客のビジネスのスピードアップを支援しようというのが狙いだ」と言う。
業界業務プロファイルとは、アプリケーションを構築、運用する上で必要なサーバ要件、ネットワーク設定、セキュリティ対応などの構成パターンや、サーバ運用、バックアップ運用、監視体制などの運用パターンを標準化/モデル化。さらに運用支援サービスやセキュリティサービスなども含めて情報をまとめたものだ。
業界業務プロファイルの種類や内容については関連記事を参照いただくとして、この発表を受けて筆者の頭に浮かんだのは、このところの取材であちこちから耳にした「今後IaaSとPaaSは融合する」との見方だ。
例えば、SoftLayerと競合するIaaS/PaaS「Microsoft Azure」を展開する米Microsoftの幹部は、「IaaSとPaaSの区別は、これからあまり意味がなくなってくる」と話した上で、「IaaSであれPaaSであれ、最も重要なのは顧客にイノベーションを提供できるかどうかだ」と強調した。
また、Amazon Web Services(AWS)のIaaSサービスを活用したインテグレーション事業を展開しているITベンダーの首脳も、「IaaSとPaaSはいずれ融合していく。現状でIaaS市場をリードしているAWSも、それを見越してこのところ急速にPaaSレイヤのサービスを拡充している。今後はPaaSにおいていかに顧客ニーズを捉えていくかが最大のポイントになっていくだろう」と、異口同音の見解を示した。
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