TBSが選んだ“4K”、テレビ局が望む「現代の電子フリップ」とは(2/2 ページ)
TBSが、番組制作の現場に“4Kタブレット”を導入した。迅速かつ正確で、分かりやすい番組の制作が望まれる現場に、なぜ4Kタブレットが選ばれたのだろうか。
経緯と課題:紙フリップは、毎回大変。コストも早さも……
バラエティ番組などでは、フリップへクイズの答えを書いたり、スケッチブックなどでお手軽に済ます「手書き」はまだある。あえてそうする演出もある。
対して、ニュースや情報番組の生放送番組は、短期で、より迅速に、より正確な番組制作が求められる。インターネットネット、スマートデバイス、SNSの普及により、“速報”を得られる手段が多岐に渡るようになった現代の事情も少なからず背景にあるだろう。
TBS(東京放送)の番組制作の現場が、「これまでの紙のフリップ」で抱えていた課題は、
- もっと作業効率を高めたい(毎回大変)
- 制作コストを抑えたい
- 表現力を高めたい(あるいは、質を落とさない)
だった。電子フリップそのものはかなり古くからある。かつてTBS系で放送されていた名クイズ番組『クイズダービー』の解答モニターも、思い出せばその範ちゅうだと思う。表現力とは、「地デジ画質に耐える表示性能」を持ち、かつ「画面へ直接タッチ操作したり、ペン記入もできる」など、近年の技術やトレンドを取り入れた手法での、ということになる。
対策と方法:「4K解像度に対応する軽量タブレット」を電子フリップに
TBSはこの課題をどう解決したか。
手にして見せるフリップのサイズ感から、20インチほどの画面サイズがちょうどよい。加えてフリップとしての表現力は落とさず、地デジ画質に耐える高精細な表示、データ表示のための慣れた操作性、気軽に持てる軽量さ、屋外やロケでも安心できる防水性能や耐衝撃性、こんな現場のニーズを満たしてほしい。
この結果、4K表示対応パネルを採用した20インチWindows8.1タブレット、パナソニック「TOUGHPAD 4K UT-MB5」が選定された。TOUGHPAD 4Kは、20インチで3840×2560ドット表示(230ppi)の高精細液晶ディスプレイを備えたWindows 8.1搭載タブレットだ。
正面は画面のみとなるピュアタブレットスタイルで、厚さ12.5ミリ、重量約2.35キロの薄型軽量ボディを特長とする。A3用紙に近い画面比率であること、IEEE802.11a/b/g/n準拠の無線LANやBluetooth 4.0による無線通信機能、10点マルチタッチと電子タッチペン対応、76センチ落下試験(動作時/底面方向)に耐えること、そして、普通のWindowsデバイスのため、フリップの内容を管理するスタッフも普段のPCと同じ使い慣れた操作性でできる。制作現場のフリップの需要をカバーする性能をかなり満たしていた。
効果と成果:迅速に、より分かりやすく伝える番組制作ができるように
フリップの内容を作成するグラフィックデザイナーは、ほぼすべてデジタルデータでCGを作成している。電子フリップなら、このデータを何らかのアプリで表示すればよい。デジタルデータなら受け渡しや納品の方法も容易で、もちろん毎回発生する台紙や印刷のコストも抑えらる。仮に別の拠点で外注していたとしても、実物を運ぶ手間、コスト、リスク(事故や渋滞、紛失、盗難など)がかなり減らせる。
加えて、4K解像度の高精細ディスプレイであれば「気象衛星ひまわり」の4Kデータを無劣化・無加工で“そのままきれい”に表示できる。タッチ操作やペン入力もできることを応用し、スライドショーやデジタルペンでの手書きを併用しながら、より分かりやすく伝える演出ができるようにもなる。
「放送画質に耐えられる画質を待っていた。これならスタジオだけでなく、現場のフリップにも対応できる。これまでの紙のフリップでは、空模様を生中継しながらCG映像を操作・解説したり、最新情報をリアルタイムに反映したりすることはできなかった。報道現場でのタブレットの活用が、ニュース表現の新たな形を生み出し、分かりやすい番組制作に寄与している」(TBS)
関連記事
- パナソニック、“4Kディスプレイ”搭載のWindows 8.1タブレット「TOUGHPAD 4K」発表
超高精細! 4K解像度のディスプレイを採用した薄型軽量20型タブレットがパナソニックから登場。Windows 8.1+第3世代Coreのシステムを採用する。価格は45万円から。 - 中外製薬のMRは、なぜ「2in1型Windows」を選んだのか
中外製薬が、製薬会社ならでは重要職種「MR」の貸与デバイスに、コンバーチブル型WindowsノートPCを選択した。これまでのiPad+PCの複数台体制を、なぜWindowsの2in1タイプに変えたのだろうか。 - ローソンのキーパーソンが、「Windowsタブレット」に乗り換えた理由
ローソンの売上増を担う重要職種「スーパーバイザー」。このキーパーソンに向け、同社はWindows搭載のコンバーチブル型タブレットに入れ替えた。その導入理由は何だったか。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.