三菱ふそうが変えた「昭和の仕事」:車両は最先端、業務プロセスは“昭和”?(2/2 ページ)
「車両は最先端だが、業務プロセスが昭和だった」──。“ふそう”ブランドで知られる老舗大型商用車メーカーが、昭和の仕事からの脱却を目指す業務改革に乗り出した。“即効”+“業務部門のみ”で開始したこのプロジェクトに、果たしてどんなITシステムが向いていたのか。
対策と方法:業務改善策に「kintone」採用 決め手は業務部門だけでも実践できること
「お客様へいかに最適なトラックを提案できるか。それには、自慢の営業スタッフが“お客様と接する時間”を増やしてあげなければならない。足かせとなっていた訪問活動の報告や書類化を簡単にし、その分を訪問活動に回せるよう“即効”な業務改革が必要だった。業務部門だけでもすぐ実施できるシンプルなシステムで、スモールスタートでやろうと決めた」(近藤氏)。
顧客管理と案件管理の効率化を目的に、サイボウズのクラウド型ビジネスアプリ作成基盤「kintone」を選定した。
選定に至った決め手は、
- 機能制限がないお試し版が用意されていた
- 「試しにアプリを作って、ダメなら改修」ができる仕組みがあった
- そのアプリは、業務部門だけでも作れた
- モバイル化も容易だった
の4点。訪問活動のプロセス「月次ターゲットを抽出」「週間訪問計画を管理」「日次訪問を管理」「訪問活動」「帰着時報告」「商談管理」を、kintoneでの一元管理にスッとまとめられた。タブレットでの作業も想定すべく、アプリはタッチ操作とプルダウンメニューなどから容易に活動報告書をまとめられるようUIを工夫した。モバイル対応とその場で最新情報へアクセスできるクラウド基盤によって、「報告などのため、事業所へ戻らなければならない」ような手間も改善された。
また、IT部門やIT業者に頼らずとも、業務部門が要件定義から開発、テスト、改修、そして導入にまで至れるkintoneの仕組みも、早急な改革が必要だった今回のプロジェクトのニーズに合った。
「kintoneは、業務部門側でもいろいろいじれること。基本機能に加えて14個ほど自社でアプリを作成したが、実際に操作するアプリは5〜6個ほどに抑えた。スタッフが“サッと入力するだけで、報告までできるレベル”にまで持っていけた」(近藤氏)
効果と成果:現場、管理、本部・本社それぞれの業務改善効果を期待
kintoneによる「新営業支援システム」は、
- 営業スタッフ:日報作成時感の短縮、顧客情報の整理と活用
- 営業マネージャ:スタッフの行動量や勝率の把握、営業訪問計画の指示
- 本部・本社:商談情報から市場分析、分析に基づく戦略の立案
を実現できる効果を生んだ。2014年10月より全国1300人規模のスタッフが新システムを使えるよう準備を整え、いよいよ「統一した販売プロセス」で活動できるようになったという。
「現場ではまだちょっと難しいという声はある。新システムへ移行してくれないケースもある。これをどう定着させるかなど、以後の課題はある。ただ、これまでの紙ベースの作業と比べると効率の違いが目に見えて分かる。格段に活動しやすくなったという声を多くもらい、それならばこう使えませんかという前向きな提案も出てくるようになった。完全な営業支援システムまで成長するよう、今後も工夫を重ねたい」(近藤氏)
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