今後「ストレージ仮想化」はどう進化するか:Weekly Memo(2/2 ページ)
ストレージの容量や構成などを柔軟に管理できる“ストレージ仮想化”。EMCがそれを進化させた「データレイク」という考え方を提案している。果たしてどのようなものか。
ビジネス価値を生む新しい情報基盤へ
データレイクの考え方に基づいたデータの利用イメージは、図3に示したように、データへのアクセス手段であるさまざまなプロトコルを通じて、アナリティクスやモバイル、クラウドアプリケーション、バックアップなどに利用される形になる。
では、ビッグデータ活用において、データレイクがどのようなメリットをもたらすのか。
笠原氏は「まず、さまざまなデータを1カ所に格納することで管理しやすくなる。そのうえで、さまざまなデータに効率よくアクセスし、それらを組み合わせてさまざまな分析を行うことで新しいビジネス価値を生み出すことができる。しかもそうした作業を迅速に行えるので、ビジネススピードを速めることができる」と説明した。こう聞くと、データレイクの考え方はまさにストレージ仮想化を進化させた具体的なデータ活用法として、ビジネスに大きな価値をもたらすことが期待できそうだ。
ただ、筆者にはデータレイクの考え方がどこか“理想形”に聞こえた。技術的に可能な水準に達しているのか。本当にビジネス価値を生み出せるような“情報基盤”になり得るのか。こうした疑問に対し、笠原氏は次のように答えた。
「データレイクを実現できるようになってきたのは、ストレージのデータ処理能力や拡張性、マルチプロトコル対応、アクセスの高速性といった点で技術が進化してきたからだ。今後はこのデータレイクを情報基盤として、さまざまなアプリケーションやアナリティクスが新しいビジネス価値を生み出すようになると確信している」
EMCではすでに、データレイクの考え方に基づいたストレージ製品群の提供を始めている。同社が考えるデータレイクについては、そうした製品群がどう評価されるかがカギとなるが、ビッグデータをストレージ仮想化によってどう処理していくかという点では、競合他社も同様の考え方を採らざるを得ないだろう。それとも全く異なる考え方が出てくるか。
いずれにしても、こうした新しい情報基盤が本当に機能してさまざまなビジネス価値を生み出すものになり得るのかどうかは注視する必要がある。相応の投資がともなうだけに、経営者にとっては投資効果が気になるところだろう。まずはデータレイクをいち早く採用した企業から、どのような成果が上がってくるか、注目しておきたい。
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