第8回 その依頼、「少し雑」ですよ:テクノロジーエバンジェリスト 小川大地の「ここが変だよ!? 日本のITインフラ」(1/2 ページ)
日本の担当者は「丸投げ」?── すべてを委ねられるSIベンダーが多く、日本特有のSI構造である事情はあるが、ともあれ欧米企業との大きな違いはどこにあるのか。その経緯と理由、対策を考えてみる。
前回ご紹介したサーバのECOモードですが、私の感覚では日本で稼働しているかなりの数のサーバがデフォルトのまま、つまりリミッターがかかったままの状態なように思います。
もちろん、すべての環境で性能が大幅低下するとは限りません。理解した上で有効にしているのであればよいのですが、「知らなかった」「損をしていた」とショックを受けるユーザーの声をいまだ耳にします。ECOモードを適切に使ってもらうよう、メーカー各社は様々な努力をしているのですが、まだまだといったところです。
管理者はこういった機能の存在にどうして気づかないのでしょう? 欧米の場合を想像しながら、理由と対策を考えてみました。
その依頼、少し「雑」ではありませんか?
理由の1つとして考えられるのは、システム構築を担当者自身で行わず、他人に頼んだということです。サーバのBIOS設定などはシステム構築を請け負ったSIベンダーも自身では作業せず、“ハードウェア”というくくりでケーブル配線やラッキングとともに力作業として別の業者に委託してしまうことがあります。伝言ゲームのような日本特有のSI構造が災いしているようにも思えますが、「他人に頼む(アウトソースする)」ということ自体は万国共通です。欧米企業は確かに自社で構築しますが、BIOS設定からアプリケーションまですべての構築作業を1人で担当するわけではありません。
では、欧米企業との違いはどこにあるのでしょう。欧米企業では、他人に依頼する際に(意外にも)BIOS設定といった部分まで細かく指示します。一般的には日本人の方が細かい性格とされるにも関わらず、実際の指示内容は“丸投げ”……。そう揶揄される通り、雑に依頼してしまうことが多いのです。
これは、採用した製品の機能を顧客担当者が知らなすぎることにあるでしょう。厳しい言い方ですが、OSの標準機能でどこまでできるかよく知らない、ハードウェアでどのような調整ができるかも知らない。機能の存在を知らなければ指示はできませんし、SIベンダーも依頼されていない作業を勝手に実施することはありません。
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