ビジネス利用の“伏兵” Windows 8.1 With Bing――Windows 10への更新は?:Enterprise IT Kaleidoscope(1/2 ページ)
Windowsを実質“タダ”で提供することになった「Windows 8.1 With Bing」がジワジワと利用環境を広げているようだ。特に言及されていないWindow 10への移行についても考察する。
“0円 Windows”としてコンシューマー向けに提供されていたWindows 8.1 With Bingの利用範囲が徐々に広がり、現在ではビジネス向けPCにまで搭載されてきている。本稿ではWindows 8.1 With Bingを企業で利用する上での注意点や、Windows 10へのアップデートなどについて解説していく。
利用が広がるWindows 8.1 With Bing
2014年開催のMicrosoftの開発者向けカンファレンス「Build 2014」で、9インチ未満のデバイスに対して無償でWindows OSを提供することが発表された。同年夏頃から「Windows 8.1 With Bing」(以下、With Bing)をバンドルしたPCが提供され始めた。
With Bingは、機能面ではWindows 8.1(無印)と全く同じであり、Internet Explorer(IE)の検索エンジンがデフォルトでBingに設定されている。検索エンジンは、手動で他の検索エンジン(例えばGoogleなど)に変更できる。OSとしてもx86版とx64版の2つがある。このようにWith Bingは、実質的にWindows 8.1を無償で提供するものだ。
With Bingの提供契約の中には、Office Home & Business Premium プラス Office 365(1年間のサブスクリプション)が入っている(With Bingを採用している全てのPCがOfficeをバンドルしているわけではない)。米国ではOffice 365 Personalの1年間サブスクリプションが付く機種もある。国内では個人ユーザーが使うOfficeでもビジネスで使用されるため、米国とは提供形態が異なるようだ。ただしWith Bing + Officeというセットで使用しても、無償もしくは非常に安い金額によるライセンスが設定されている。
当初は、9インチ未満のタブレットにWith Bingが採用されていた。このためWith Bingの提供は、Androidタブレット対抗という意味合いが強いと思われた(多くはAtomプロセッサを使用したタブレット)。しかし、提供から日数が経ち、With BingはタブレットだけでなくノートPCなどにも搭載されてきた(2014年は一部のデスクトップPCにも採用されていたが、現在はほとんどない)。
最近ではタブレットや2 in 1PCだけでなく、通常のノートPCでもWith Bingを採用したモデルが増えてきた。(CPUもCeleronなどを使用)。液晶画面のサイズも9インチ未満という制約がなくなってきたのか、14インチなどの液晶パネルを使用したノートPCでもWith Bingが採用されている。
米HPは、ビジネス向けノートPC「HP240 G3 Notebook」(Celeronモデル)にWith Bingを採用し、14インチ液晶(1366×768画素)を採用しながら3万円を切る価格で販売される。HPは、法人向けでも低価格のWith Bingで構わないというニーズがあるため、「顧客ニーズを満たすためにラインアップをそろえている」と説明する。今後に法人向けPCでWith Bingの採用を広げるのかについても、顧客ニーズをみて検討していくと語っている。Celeronプロセッサを採用した14インチノートPCなので、法人利用と言ってもある程度用途が限定されているというのが本音だろう。
このように、With Bingの制限事項は非常に柔軟なものといえるだろう。このあたりは日本マイクロソフト自身も認めている。同社は「当初は9インチ未満のタブレット中心だったが、With Bing自体はタブレットに限った施策ではなく、多くのメーカーやユーザーからのフィードバックを聞き、顧客ニーズに合わせて多少の変更や調整を随時している」と答えている。
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