日本初「4K映像配信」のNTTぷららが“Solaris好き”な理由:Solarisでの仮想化を進める配信プラットフォームの裏側(1/3 ページ)
NTTぷららは2012年から同社の事業基盤である「配信プラットフォーム」をSolarisによる仮想化で取り組んでいる。社内はそもそもSolarisファンが多いようだが、破たん寸前の現場を救い、社内説得の材料にもなった“決め手”とは。
ISP事業者として1996年に設立されたNTTぷららは、インターネットの普及を背景にプロバイダ/ネットワーク事業を軸に、「IP電話」や「ひかりTV」など事業を相次ぎ立ち上げてきた日本の大手ISPの1つだ。2015年2月末現在、約300万の会員を抱える。
そんな同社が2012年から、事業の基盤である各種コンテンツの「配信プラットフォーム」でSolarisによる仮想化移行を継続的に進めている。日本オラクルが開催したイベント「Oracle Cloud World」で登壇した、NTTぷららの技術本部 ネットワーク管理部でチーフエンジニアを務める嶋寺克彰氏に移行プロジェクトのポイントを聞いた。
経緯と課題:追加拡張の困難さから現場が破たん寸前に
NTTぷららで配信プラットフォームの見直し計画が持ち上がったのは2011年のこと。同社はこれまで、サービスの拡充にあわせた物理サーバの追加によって、配信プラットフォームの処理能力を強化してきた。しかし、長年サーバ追加を繰り返してきたことによりデータセンターのスペースがひっ迫。また、サーバの調達自体にも時間を要し、タイムリーな施設の拡張がとても困難になっていた。
「迅速なサービスリリースを求める現場の声は年々、高まる一方です。しかし、既存の手法による拡張はもはや限界に来ていました。実際にサーバの追加が間に合わず、既存サーバへサービスを相乗りさせることもしばしば。その結果、システムの複雑さが増し、運用負荷も急増。現場の業務が破たん寸前にまで追い込まれていたのです」(NTTぷららの嶋寺氏)
この状況を打開する策が「仮想化基盤への脱却」であった。ただし、その実践の道のりは平たんではなかった。
一般に仮想化導入の効果として「開発速度の向上」や「運用の効率化」などが挙げられる。だが、それらを明確なコストとして算出するのはなかなか難しい。とはいえ、移行には少なからず投資が必要だ。社内の理解を取り付けるためにも、まずは具体的な効果の提示が強く求められた。
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