富士ゼロックスは5月7日、約900社の主要取引先と結んだEDI(電子データ交換)の機能強化を行い、自社開発の調達BCP(事業継続計画)システムと接続したと発表した。調達関連情報をグローバルで一元化し、災害発生時などの迅速な経営判断につなげる狙い。
EDIの機能強化では、すでに対応していた設計変更依頼や部品発注など5種類の文書に加えて、これまでメールやFAXでやり取りしていた生産準備、量産調達、管理改善の全プロセスにわたる43種類の文書に順次拡大。
また、調達部門と取引先とで交わされる問い合わせと回答などの進捗を管理する機能も追加する。利用者には適切なアクセス権を設定し、文書を閲覧できるようにすることで調達業務を組織的に管理する。同社では「取引先においても調達業務の管理強化や効率化が図れる」という。
一方、調達BCPシステムは、東日本大震災やタイの水害などの経験から生まれたシステムで2012年から稼働。生産計画、構成管理、部品属性、生産基幹システムなど各種データベースと連携し、BCPの立案や遂行を支援するものだ。
同社によれば、2011年から2014年にかけてリスク案件にかかわる対応時間の大幅な短縮に成功。問題発生から1週間以内で解決に至った案件の割合が1.5倍になり、生産などへの影響度の高いリスク案件の割合を3分の1に抑えたという。
EDIと調達BCPシステムの連携により、中国やベトナムなどの生産拠点で行われている調達業務に関するすべての情報がタイムリーかつ一元的に管理できるようになった。
大規模災害が発生した場合など、取引先との間で交わされる部品供給への影響に関する問い合わせや回答をシステム上で行うことで、これまでの手作業による集計作業なしで生産への影響の全体上を即座に把握できる。ほかのデータベースの情報を参照しながら代替部品の発注や生産計画の変更などを行い、生産ライン停止の影響を最小限にする。
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