IoT戦略の“次の一手”は? Citrixのトップに聞く(1/2 ページ)
XenAppへの再フォーカスとIoTへの注力――。Citrixが年次カンファレンス「Citrix Synergy 2015」で打ち出したテーマは“古さ”と“新しさ”の両者を兼ねていた。今後同社はどのような戦略で製品を展開するのだろうか。
米フロリダ州オーランドで開催された年次カンファレンス「Citrix Synergy 2015」で米Citrix Systemsが強調したのは、「XenApp」の再フォーカスと“Internet of Everything(IoE)”として打ち出したIoT戦略という“古さ”と“新しさ”が融合したテーマだった。
新サービス“Workspace Cloud”も発表し、同社が新たなステージに入ったとみる向きもある。今後Citrixは、どのような戦略で製品やサービスを展開していくのか。2014年末に同社の最高戦略責任者(CSO)に就任したギア・ラムレス(Geir Ramleth)氏に話を聞いた。
Citrixが進むべき道と課題とは?
ラムレス氏は直近まで、建設大手BechtelのCIOを務めており、Oracleのコンサルティング、GenuityのCEOなどを歴任してきた人物だ。IoT戦略の要となるOctoBlu(2014年にCitrixが買収)は同氏が共同創業した企業でもある。
――CSOに就任して6カ月が経過しました。今、最優先としている課題と今後の方向性について教えてください。
ラムレス: 製品ポートフォリオを連携させることが今の大きな課題です。安価なベアメタルからワークロードまで製品をそろえ、容易に実装できるようにしていく。顧客としては実装、運用、管理がシームレスに行えるようになるのです。
今回の基調講演ではこの一部を紹介しました。中でも主要な製品となるのは「Workspace Cloud」です。大型の製品ではないかもしれませんが、与えるインパクトは大きい。簡単かつ迅速に実装でき、他のワークロード、技術、サービスも重ねることができます。Workspace Cloudは、2015年の第3四半期に一般提供を予定しています。今後数カ月すれば、われわれが何をしようとしているのか、分かっていただけると期待しています。
ワークスペース(作業空間)は、固定されたデスクトップから仮想デスクトップへと進化し、現在は企業の枠を超えたコラボレーションを行う段階にあります。今後はワークスペースのコンセプトをさらに進化させていきます。デバイスに依存せず、まったく新しい方法で社内、それにサプライチェーンや顧客と協業できるようになるのです。
――Citrix Synergyでは、特にXenAppへの注力を強調したように思います。“XenAppへの回帰”という声も聞かれましたが、その点はいかがでしょう。
ラムレス: 顧客の声を受けてのものです。XenApp 6.5のサポート期限を延長し、その間強化を続けることを発表しました。また、StoreFront(接続インタフェース)も強化し、さまざまなバージョンのXenAppを利用できるようになりました。これでユーザーの移行が容易になります。
「万単位のコンピュータで構成される複雑な環境で、迅速にアップグレードが行えない」という顧客がいることをわれわれは理解しているつもりです。
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