第2回 chroot/Dockerを手元のWindowsで手軽に試す方法:古賀政純の「攻めのITのためのDocker塾」(1/2 ページ)
なぜ企業がDockerに着目するのか、今後の“攻めのIT”に必要と言われているのか。今回はこれをふまえ、簡単にざっくりと体験学習してみませんか。今回は準備編として、CentOS 7.xをお手元のWindows PCで手軽に試す方法を簡単に紹介します。
chrootとDockerを簡単に比較
chroot | Docker | |
---|---|---|
ファイルシステム | 分離可能 | |
アプリのプロセス | 共通 | 分離可能 |
ネットワーク | 共通 | 分離可能 |
前回は、Dockerとは何? を理解していただくためにchrootの概念と応用例を紹介しました。chrootのなんたるかは少し身近に感じていただけたかと思います。
今回はこれをふまえ、ちょっと実践してみましょう。まずはざっくりと……chrootと現在のDockerを比較してみます。
chrootは、主にホストOSと監獄におけるファイルシステムの分離です。しかし、アプリのプロセスは、ホストOSを含めたシステム全体で共通で、ネットワークについても共通です。
一方、Dockerはファイルシステム、プロセス、ネットワークもすべてホストOSと分離ができます。右の比較表だけ見ると、Dockerがあればchrootはいらない? と思うかもしれませんが、そんなことはありません。chrootは前回説明した障害復旧以外にも、ソフトウェアパッケージのビルド環境やFTPサーバ、メール転送の機構など特定の機能を実現するために裏で黒子のような役割を演じています。Dockerと比較してみることで、chrootの位置付けを理解することができます。
ということで実際に、ファイルシステムの分離を体験する方法を試してみませんか。
Dockerがない環境でchrootだけを試すには、フリーLinux(CentOS 7.1など)を用意すれば簡単に体験できます。今回は例として手元にあったx86-64アーキテクチャのマシン+CentOS 7.1での試し方を紹介します。
……その前に今回は、CentOS 7.xをお手元のWindows PCで手軽に試す方法を紹介しますね。
実際の企業システムでは、CentOSやDockerをサーバシステムで稼働させます。ただ、手元の環境でお手軽に「少しだけchrootやDockerがどんなモノかを試したい」となりますと、
- 仮想化ソフトをPCに入れる。ゲストOSでCentOS 7.xを動かす
- USBメモリにCentOSを入れる。USBメモリをハードディスクと見立ててCentOS 7.xを動かす
などでいかがでしょう。昨今はVPS(仮想専用サーバ)などとしてパブリッククラウドで用意される環境でCentOSを利用する手段も考えられます(ユーザー登録や課金などがあります)。分かる方であればそちらでよいですが、今回のような個人レベルでの小規模な体験学習ならば上のどちらかの方法がよいと思います。
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