Adobeが7月9日公開の臨時アップデートで対処したFlash Playerの脆弱性を突くサイバー攻撃が、修正前に発生した可能性があるという。トレンドマイクロが明らかにした。
トレンドマイクロによると、アップデート公開前の7月1日に、脆弱性の1つ(CVE-2015-5119)を悪用する攻撃が韓国のユーザーを狙って行われた。
その後の調査で、6月下旬にも韓国のユーザーに対して関連性が疑われる同様の攻撃が発生。この攻撃では文書ファイルを添付されたメールがユーザーに送り付けられ、ファイル内のURLから米国のWebサイトに誘導される。WebサイトでAdobeが対処した脆弱性を突くコードが実行されて、不正プログラムがダウンロードされてしまう。
このWebサイトにアクセスした大半のユーザーは韓国だったが、6月22日に日本のユーザーもアクセスしていたことが分かったという。不正プログラムはさらに別の不正プログラムをダウンロードする機能を搭載しているが、結果的にどのような被害につながるのかは不明。トレンドマイクロは調査を継続している。
脆弱性は、捜査機関向けに監視ツールを販売するイタリアのHacking Teamで発生した情報漏えいで表ざたになった。監視ツールにFlash Playerなどの未知の脆弱性を突く機能が搭載されていたことから、Adobeが臨時アップデートで対応したものの、既に攻撃ツールへ脆弱性悪用機能が追加されるなど危険性が高まっている。Adobeはすぐにアップデートするようユーザーに呼び掛けていた。
トレンドマイクロは、韓国や日本のユーザーを狙った攻撃がHacking Teamの情報漏えい事案に大きく関係しているとみている。
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