めちゃ高いプロマネ試験のハードルはアタマの中身より財布の中身!?:女子ヘルプデスクのプロマネ修行奮戦記(3/3 ページ)
知れば知るほど奥深いPMP試験の世界。受験のハードルたるや、想像を絶する高さであることが分かってきた。受験料555ドル、失敗して再受験したら375ドル、おまけに受験するには4500時間のプロジェクト経験と35時間の学習が必要って……。
と、そのとき、どーでもいいことに気付いてしまった。「品質マネジメント計画」プロセスの部分と、それ以外の部分とでページの厚みが随分と違うのだ。「品質マネジメント計画」プロセスのページ数は、それ以降のプロセスである「品質保証」、「品質コントロール」よりずいぶんと分厚いのだ。私の感覚だと、品質保証や品質コントロールのほうがページを割くものだと思うのだが。
わたし 品質管理をするっていうと、商品を出荷前に検品したり、接客作業をするのに丁寧さを心がけたりと、計画より実行段階のほうが大切なんじゃないのかなぁ。どう思う?
膝の上で寝ている猫に聞いてみたけれど、返事が戻ってくることはない。確かに何事も計画は大切だし、どういった基準で検査するのかも大切だけどね。ここはしっかり資料に目を通す必要がありそうだ。
“受験料555ドル”をムダにできないという恐怖心からか、珍しく真剣に資料を読んでみると、「プロジェクト品質マネジメントでは、プロジェクトのマネジメントと成果物のマネジメントの両方を取り扱う」とある。なるほど。確かに、プロジェクトマネジメントの品質が良くないと良い結果は得られない。良い結果が欲しければ、プロジェクトの品質もきちんと管理しようってことか。
さらに、「成果物の品質尺度や技法はプロジェクトで生み出される成果物の個々のタイプに固有なものである」とある。ん? つまりは、成果物ごとに、というかプロジェクトごとに、求められる品質や品質チェックの方法が違いますよってことか。そういえば、プロジェクトの定義の中に独自性というのがあったっけ。プロジェクトそれぞれが独自の成果物を持っているんだから、プロジェクトごとに品質の基準やチェック方法があるのは当然かもしれない。なるほどなるほど。
と、ふたたび、私の手を止める言葉が出てきた。
わたし ん?? 品質と等級は同じ概念ではない?!
参考書の説明を見ると、「品質とは実現されたパフォーマンスや結果であり、本来、備わっている特性の集まりが要求事項を満たす程度のことをいう」とある。さらに、等級とは「設計上で意図されているものであり、同一の用途であっても技術的特性が異なる成果物に定めた区別のことをいう」とある。
つまり……これを携帯電話に例えてみると、電話をかけるという「本来備わっている特性」に対して、「相手の声が聞き取りやすいかどうか」という程度の度合いが品質ってことなのね。それに対して、「アドレス帳に何件登録できる」とか、「ハンズフリー通話の機能がついているかどうか」とかの区別が等級なのか。「ハンズフリー通話なんかいらない」という人が、あえて等級の低い電話機を選ぶことだってあるものね。
そうすると、私が担当する「在宅ヘルプデスク業務開設プロジェクト」の品質って何だろう。「在宅のヘルプデスクスタッフが、会社に出てきて仕事しているスタッフと同じレベルで仕事ができる」という環境を整える度合いのことを言うのかしら。在宅ヘルプデスクスタッフが、ちゃんとヘルプデスクとしての機能を果たしていなけりゃいけないってことね。
そのためにヘルプデスクの品質、つまり、本来の役割、備わっていなければならない要求事項とは何かをきちんと定義し、どこまでできたら品質を良しとするかを定義しなきゃいけないってことね。それも、コストをかければいいってもんじゃない。コストを考えつつ、品質をどこまで求めるかもちゃんと考えなきゃいけないのよね。
ん? そういえば、プロジェクトそのものの「等級」って何だろう……PMP資格を持っているプロジェクト・マネジャーが仕切るプロジェクトと、そうでないマネジャーが仕切るプロジェクトって、等級が違うって言えるんだろうか?? だったら、プロジェクトの等級を上げるために、やっぱりPMP試験は受けるべき?!
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