ハンズラボ情シス、長谷川さんの「“情シス”不要論」 その真意は?:情シス“ニュータイプ“の時代(2/2 ページ)
「一般論としては“情シスは衰退していくのがいい”と思ってるんです」――。そんな刺激的な言葉を口にしたのがハンズラボの情シス、長谷川さんだ。情シス自らが“情シス不要論”を唱える真意とは。
だから、今の情シスはそっとしておいて、「第2情シス」という形で新しい機能を作ってしまうのがソフトランディングの方法としていいんじゃないかと思うんです。他の部門で「クラウド入れて何かやろうぜ」と言っているような人とか、やりたい人が変えていけばいいんですよ。
―― そう言われてしまうと、従来型の情シスは途方に暮れそうですね。
長谷川: 変えようとすることはいいと思うんですよ。でも、いろいろとやってみて会社が変わらないなら、転職すればいいんです。無理なら別の方向にピボットすればいいのであって、変わらないままの状態でずっといるのが最悪なのです。
「転職は逃げだ」という人もいますが、そんなことはないし、人材の流動性はもっと高いほうがいいと思っています。転職しても食っていけるという状況なら、より革新的な挑戦ができるようになりますから。
―― 若手がどんどん出て行ってしまう状況になったら、その上司や経営者はどうすればよいのでしょう
長谷川: 仕方がないよね、囲い込むことはできないから。僕は、社員が「辞めて他のことをやりたい」と言ってきたら「がんばってね」と送り出します。やりたいことがあって、それが社内でできないことなら外に行った方がいいですから。だから、変わろうとしている人はすでに転職していて、社内には残っていないと思いますよ。
―― 本気で変えようとしている人は、策を考えて何らかの行動を起こしているはず、ということですね
長谷川: 「変えたい」と言いつつできないのは、「総論賛成各論反対」の人でしょう。「具体的に何をするのか」と聞くとノーアイデアで、「こうすれば?」と言ったら「それはちょっと」と言うような人が多い気がします。
例えば、「IT投資をROIで評価すべき」という話があります。企業の情シスの人たちに「自社のIT投資のROI評価ができているか」と聞いたとき、「できている」、または「あきらめている」というのはいいけれど、「できていないけれど、やろうと思っている」という場合はやめたほうがいいです。
ROIを出すには“R”(投資による効果)の算出方法をどうするかが難しい。「できている」というのは、その部分について何らかの割り切りをしたということです。数年かけて考えてまだできていないのなら、無理ってことなんですよ。
頭が良すぎる人は複雑に考えて、解決できない問題に向かっていってしまうんじゃないでしょうか。自分の能力に疑いを持つ人の方が、シンプルに考えてものごとを進められる。いくら正論でも、できないことをがんばっても仕方ないですから。
「情シスは変われない」――とバッサリ切り捨てられてしまった前編。それでも変えていこうと行動を起こす人や、「第2情シス」的な立場の人たちが結果を出すにはどうしたらいいのか? 後編は、長谷川さんがそのために意識しているポイントを聞く。
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