ネット犯罪の回避策と“もしも”の時の対処術:萩原栄幸の情報セキュリティ相談室(2/3 ページ)
夏休みはネットの利用機会が増えるだろう。今回はインターネットバンキングやネット通販などの利用における注意と対策を紹介する。
ネットでお買い物
ネットで旅行予約やオークション、ソフトやゲームの購入など金銭取引をする場合について、誤った情報が出回っている。クレジットカード詐欺やなりすましで損害が生じても、「カード会社が補填するので個人は安心」というものだ。実際にこれを信じてとんでもない状況になった人を筆者は知っている。
クレジットカードで商品を購入し、「翌月一括払い」を選ぶ人は全体の約9割だという。手数料がかからないのでクレジットカードが現金代わりに利用されているが、翌月一括払いは販売業者や商品などに問題があった際、クレジット会社からの支払い請求を拒否できる割賦販売法の「抗弁権」が認められていない。クレジットカードの支払い方式には(1)翌月一括、(2)ボーナス一括、(3)分割、(4)リボルビング――の4つがあるが、割賦販売法の対象は(2)(3)(4)で、翌月一括払いは対象外なのだ。
つまり、例えば「宝石を100万円で購入」「Web構築セミナー全課程を一括80万円で契約」「内職機材を70万円で購入」といったような場合、翌月一括を指定してクレジットカードで支払い、その業者が後日「悪質業者」だと判明しても、返金が極めて難しくなる。多少の手数料がかかっても、分割やリボ払いにすることをお勧めしたい。
また、クレジットカード会社のWebサイトには、たいていこう書かれている。
「クレジットカードで安心してインターネットショッピングやサービスをご利用いただくためオンライン取引での不正利用による損害を補償いたします」
ところが約款を良く読むと、「会員および関係者の自宅・勤務先などの電話番号やIPアドレスから発信してご利用された場合」は、「本サービス(不正利用の補償)は適用されません」≫とも書かれている。PCにウイルスが仕込まれ、遠隔操作でユーザーのIPアドレスから商行為が発生した場合には補償されない可能性が高いということだ。こうなる前の対策は次の通りである。
- 原則はウイルス対策ソフトのインストールと適切な設定
- 感染の要因を遠ざけること(メールのリンク先はクリックしない、添付ファイルは原則開かない、怪しいWebサイトには行かない、SNSなどで無用なトラブルを避ける、など)
「自分だけは大丈夫」という根拠のない自信は持たず、謙虚に振る舞うことである。
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