白馬村に降臨、通訳女神 民宿×ITでつながる“おもてなし”の心:通訳をいつもすぐそばに(1/2 ページ)
ITを活用してコミュニケーションの壁をなくす――。長野県スキー連盟は訪日外国人の対応に多言語通訳システム「V-CUBE トランスレーター」を導入した。その効果とは。
近年、日本を訪れる外国人観光客の数は2014年に過去最高を記録し、急速に増加している。それに加え、2020年に東京オリンピックが開催されることから、訪日外国人の対応は喫緊の課題となっている。特に言葉の壁は課題の一つ。オリンピック準備局も多言語対応を訴えている状況だ。
今後「世界最先端IT国家」と「観光立国」を目指す日本は訪日観光客との言葉の壁をITで解決していかなければならない。そのような中、長野県スキー連盟は2015年8月29日に行われた国際大会「2015FISサマーグランプリジャンプ白馬大会」で、外国人選手の対応に多言語通訳サービスの「V-CUBE トランスレーター」を取り入れたという。V-CUBE トランスレーターは訪日外国人の対応にどれだけ効果があったのか、製品導入の担当者に話を聞いた。
民宿オーナーが外国人選手を受け入れ"拒否"、一体なぜ?
長野県白馬村では毎年8月にスキージャンプの国際大会「2015FISサマーグランプリジャンプ白馬大会」を開催しており、大会開催中は多くの外国人選手が白馬村に滞在する。
今までは大会に参加する外国人選手のため、一つの大型ホテルを借り切っていたが、2011年から現地に複数ある民宿へ振り分ける「分宿」の方針に変えた。その理由を大会事務局長の中村光志さんはこう述べる。
「世界のトッププレイヤーたちが集結する大きな大会なのですが、今までは選手全員を同じホテルにまとめて宿泊してもらっていたため、民宿のオーナーたちは大会の存在すら知りませんでした。スキー場で知られる白馬村は民宿が多いので、そこに選手を泊めることで彼らにもこの大会に関わってもらい、関心を持ってもらいたかったのです。それに、畳やふとんなど日本の様式美を選手が体験できる機会も提供できるので」(中村さん)
しかし、中村さんを待ち受けていたのは民宿オーナーの「外国人選手の受け入れ拒否」だった。白馬村観光局を通じて外国人選手受け入れの募集をかけても、なかなか集まらない。理由は言葉の壁だった。
「通訳を用意してくれるならば」という声が多かったが、複数の宿に通訳を用意すれば多大なコストがかかる。市販の自動通訳ソフトも試してみたが、現状ではまだまだ翻訳の精度に問題があり、外国人選手とコミュニケーションをする実用的なものはなかなか見つからなかった。
中村さんがようやく探し出したのが多言語通訳システムV-CUBE トランスレーターだ。連盟側で導入し、民宿側に貸し出すことを決めた。
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