第2回 データマイグレーションを実施する3つの注意点:クラウド社会とデータ永久保存時代の歩き方(1/2 ページ)
みなさん「HPポケット・メディア・ドライブ」を覚えていますか。それはさておき、データの長期保存には廃れゆくメディアなどから刷新する「データマイグレーション」という手法が有効です。データマイグレーションを行ううえで考えるべき「3つの注意点」を解説します。
この連載は……
ストレージ技術は、クラウド/IoT時代を迎えて大きく役割を変えつつあります。
様々な「非構造化データ」が無秩序に保存されてゆき、さらにかなり長期に保存する必要が出てきました。実は最新のデータセンターにおいてもデジタルデータの長期保存は大きな課題で、様々な新しい技術、新しい管理方法が考えられてきています。これはごく身近な個人のデータもそうです。スマホで撮った写真や動画、家族とのやりとりや記録、日記的メモやSNSのログなど、これらはいわばライフログ(人生の記録)になりつつある自分だけの大切なデータです。これらを数十年、百年単位で残していくにはどうすればよいのでしょう。
この連載は「そのようなビッグデータ時代に最適なストレージとは何か」がテーマです。今後、トランザクションデータとアーカイブデータの二極化が起こります。特に無秩序に途方もない量のデータが生成されるこれからの時代には、低コスト、低消費電力、高拡張性、高検索性のストレージが求められます。そんな課題の解決方法を、最新IT技術も交えてできるだけ分かりやすく解説していきます。
「データマイグレーション」を行ううえで注意すること
前回はデータの長期保存には「データマイグレーション」という手法が有効であるという話をしました。それでは、データマイグレーションを行ううえで注意する点はどのようなものなのでしょうか? 今回は最低限の注意点を3つ紹介したいと思います。
(1)適切な記録メディアの選択
ハードウェア、ソフトウェア、そして記録メディアも広く普及しているものを選ぶことが重要です。
ある特定のメーカーなどに依存していると、その時のパフォーマンスはさておいて、サポートが急になくなったり、メディアの供給が止まったりという危険性があります。できるだけ代替できる、世の中の標準フォーマットを使うと安心です。目安としては、以下のような基準が判断材料となります。
- ハードウェア:最低限グローバルクラスの2ベンダーが製造しており、将来にわたるロードマップが明確であること
- ソフトウェア:グローバルレベルで広く普及しているもので、できれば互換性のある複数のソフトウェア、フリーウェアがあるもの。あるいは、特定のソフトウェアを使用せず、NFSやCIFSなど広く普及しているファイルフォーマットをそのままコピーしていく方法もある
- 記録メディア:グローバルレベルで複数のベンダーが製造し、将来のロードマップが明確であること。またマイグレーションの時期までの間、想定される保存環境でエラーレートが悪くならない等の耐環境性も考慮してあるもの
なおソフトウェアについては、オープンソースソフトウェアも広義で選択肢にはなりますが、これは個人の技術レベルが問われますので、万人向けではありません。
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