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第8回 「進撃の巨人」で知るインシデント対応 3兵団とセキュリティ実態の関係日本型セキュリティの現実と理想(2/3 ページ)

標的型攻撃などのセキュリティインシデントに対応するCSIRTやSOCが注目を集めている。これらはどのような存在なのだろうか。まずは「進撃の巨人」を例に解説しよう。

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壁を守るために組織された3つの兵団

 このように、「進撃の巨人」の世界は大きな壁がそびえ立つことで巨人の侵入を許さず、平和が守られている。つまり、この壁が破壊されてしまうと、外敵である巨人に人類の生活が踏みにじられてしまう。そのため、壁の内部の社会を統制したり、壁自身を守ったりするなどの機能別に、防御のための3つの組織が存在する。

1.憲兵団

項目 特徴
機能 壁の中の人民を統制し秩序を守る
配置 一番安全な壁の中央部の安全なところに居る
構成員 軍全体で最もエリートの兵士だけがなれる

2.駐屯兵団

項目 特徴
役割 生命線の壁が壊されていないか見守り、劣化した壁の補修などを行う
配置 壁のすぐ内側で有事の際には、命を張って壁と人民を守る
構成員 教育課程を終えた(憲兵団に入れない)ほとんどがなれる一般的な兵士

3.調査兵団

項目 特徴
役割 巨人の秘密や弱点をさぐるため、致死率の非常に高い調査を行う
配置 危険な壁外で命がけの任務を行う
構成員 志願した兵士のみがなれる

 「憲兵団」は、兵団と称しつつ、軍隊や兵団としての機能は警察的なものが少しあるだけだ。この組織の本質は人民を統制するこの小さな世界のエリートマネジメント層と言えるだろう。

 「駐屯兵団」は、この世界の人類を守るほぼ唯一無二の防御策である壁を守るための組織だ。巨人の習性は捕食する人間に寄ってくる傾向がある。そのため、人類はあえて都市部に集中して生活している。そうすれば、壁が多層構造になっていることもあって、守る壁の面積を最少にし、防御対象を集中させることにより、リソースを抑えているのだ。しかし、それでも防御する壁の面積は多いため駐屯兵団の人員比率は多くなる。巨人と直接戦うこともあまり想定されていないため、壁の保守に特化した“土木建築屋さん”の性質も強い。さらに、行動範囲は壁の内側に限定されているため、憲兵団の指示で動く下部組織としての面も強い。

 「調査兵団」は、天敵の巨人を倒すことを目的とした、防御一辺倒のこの世界で唯一の攻撃機能を持っている組織だ。安全が確保されていない巨人がうろつく壁の外側に遠征して巨人の弱点などを調べるという意味で、調査兵団と名づけられている。しかし、移動手段はワイヤーをガスで射出して引き込むことで3次元の移動ができるようにした立体軌道装置など創意工夫しているものの、武器は貧弱で巨人にダメージを与えられるのは特殊な剣だけだ。そのため、圧倒的な戦闘力を持つ巨人にはなかなかかなわず、遠征のたびに大きな損害を受けてしまう。よほど高い意識と戦闘力がないと務まらず、死を省みない者だけしか志願しないリスクの高い組織である。

 このように、「進撃の巨人」の世界では分業化された3つの兵団が組織により、やっとこの安全が維持されている。これらの組織の最大の特徴は、軍隊のような構成でありながらも、外敵の巨人が圧倒的に強すぎるため、壁を保つことにより、防御に専念しているという点だ。

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