通勤ラッシュで事件発生、リスク管理の重さを思い知る朝……:女子ヘルプデスクのプロマネ修行奮戦記(3/3 ページ)
なんだか頭にすっと入ってこないなぁ〜、プロジェクト・リスク・マネジメントの項……朝の通勤ラッシュの中、そんなことを考えていたら大事件発生!! リスク管理の大切さを思い知るハメに……。
あー、ということは、今朝のマスコット家出事件は、私にとってリスク登録簿に乗せるべき事案だったのかもしれない。なぜなら、ここ1カ月の間に私のストラップからマスコットが外れたことが何度かあったのだ。
ストラップが壊れてもマスコットがなくなってもスマートフォンを使うのに何の影響もないけれど、私の気持ちが沈むというリスク(負のリスク)がある。物理的な影響度はゼロに等しいけれど、精神的な影響度は大きいのよね……。で、ちゃんと対応策を考えて、なくさないように予防処置をしておけば、ストラップ脱落事件は起きなかったかもしれない。
わたし ああ、リスク管理って大事。このストラップは、プレゼントにもらったものだし。今度、プレゼントしてくれた人に謝らないと……。
思い出しただけでまたへこんでしまった。とはいえ、仕事で扱うプロジェクトでへこまないように、ある程度のリスクは回避したいし、顕在化したとしても「想定の範囲内」といえるようにしておきたい。
いや、ちょっと待てよ。確かにストラップのマスコットをなくしたことは、私の中ではかなり衝撃的な出来事だったけれど、それに振り回されて何か忘れてなかったか? そう、今朝の私は、電車が止まったことで「会社に遅れるかもしれない」というリスクがあったにもかかわらず、ストラップのほうに気を取られすぎて、会社に電話することなんか完全に忘れていたのだ。
これって、デキる女としては最悪の判断ミスである。たまたま気づいたときには電車が動いていたから大事に至らなくて済んだけれど、もし電車が大幅に遅れていたらそうはいかなかったはずだ。
わたし やっぱり、リスクの優先度を決めて対策を立てておくのって、大切よねぇ……。よし、Aさんに相談しながら、リスク登録簿をきちんと作ろう。でないと、今朝のように後から出てきたリスクに気をとられてしまうかもしれないし。
そう。たまたま電車が5分遅延しただけですんだけれど、ストラップを探すことに一生懸命になっていて、会社に無断で遅刻するなんてことになったら大事だ。リスク対応にも優先順位があるのに、私は、今朝すっかりその優先順位を忘れてしまっていたように思う。もちろん、対応をどうするかと考えながら、すぐに解決できることをやるのも、リスク対応の1つだ。だけど今朝の私は、会社に遅れるかもしれない、というリスクをすっかり忘れていたわけだから、プロジェクト・マネジャーとしてはちょっと危ないよね。
と、そこへ後輩M君がやってきた。ここのところ、プロジェクトの準備で忙しく、久しぶりにM君の顔を見た気がする。
M君 せんぱーい。試験の準備、進んでます?
わたし 久しぶりのあいさつがそれ? そうねぇ、学習は進んでないけれど、e-Learningでは足りない学習時間があってねぇ。研修を申し込んだとこ。その研修の中で試験の申し込みを手伝ってくれるから、一緒に申し込むつもり。
M君 申し込んでから審査が1週間ほどかかりますからね。となると、受験は来月あたりですか?
わたし そうだね。審査にひっかからなければ来月には受けたいなぁと思っているよ。
M君 監査、10人に1人とか4人に1人とか、いろいろなことが言われていますね。監査にひっかかったら、申請した内容の証拠を英語で提出するんですよね。本当に申請した大学を出ているのか、本当に申請したプロジェクトを担当したのか……英語の卒業証明書を大学から発行してもらったり、上司からサインをもらったりして、提出するんですよね。
わたし らしいねぇ。ひっかからないことを祈るばかりだね。日本人はひっかかりやすいらしいから。
M君 試験を受けるためには面倒だとか言ってられませんからね。特に先輩は、現プロジェクト・マネジャーとして落ちるわけには行かないんじゃないですか?
わたし そんなぁ……。プレッシャーをかけないで……。
といいつつ、どちらかというと後輩の手前、落ちたくないな。きっと、今の私にとっての一番のリスクは「試験に落ちる」ことかもしれない。そのリスクを回避する方法は……。
猫に邪魔されないこと! ではないわよねぇ。
関連記事
- 連載「女子ヘルプデスクのプロマネ修行奮戦記」記事一覧
- 連載「悲しき女子ヘルプデスク物語」記事一覧
- 恐怖! ナゾの資格「ぴんぼっく」
かつての上司、Aさんが再び私の上司に返り咲いた。武勇伝には事欠かないAさんのことだから、職場が賑やかになるんだろうなぁ……なんてのんきに構えていたら、とんでもない事態に……。ヘルプデスクの私に「プロマネやれ」ってマジですか!? - 「ぴんぼっく」を信じる者は救われる?
一介のヘルプデスクが突然、プロジェクトマネジャーを任され、ぴんぼっくとやらを学び、PMP試験を受けるハメに……。これがこの春、わたしに降りかかってきた災難。小難しい勉強に挫折しそうになる私を救ったのは、十八代目中村勘三郎さんのこんなひと言だった。 - ぴんぼっくの“分からない連鎖”、どう攻める?
PMBOKを勉強し始めたはいいけれど……“わけわかんない”言葉たちがつぎから次へと襲ってくるからもう大変。プロジェクト憲章? 憲章って何? の、のり?? この「分からない連鎖」を断ち切ってくれたのは、何と社員旅行の相談にふらりとやってきた来たA子だった……。 - プロジェクトが始まらない? 計画地獄にハマるわたし
PMBOK(ぴんぼっく)でプロジェクト・スコープ・マネジメントを勉強していたら、私の脳みそが急ブレーキで停止した。計画をするための計画?? それってヘンじゃない? まるで開けても開けても出てくるロシアの民芸人形みたいな……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.