IT産業構造の変化を映すDellのEMC買収:Weekly Memo(2/2 ページ)
DellによるEMCの買収が先週、発表された。この動きはITトレンドから見て何を意味しているのか。新生Dell・EMC連合の注目点はどこか。筆者なりに考察してみたい。
クラウド事業で独自路線を行く新生Dell・EMC連合
今回のDellによるEMCの買収劇をITトレンドから見ると、まさしく両社にとって課題となっている第3のプラットフォームへの移行が大きな動きになってきていることを象徴するものといえる。
では、その中で新生Dell・EMC連合は確固たる存在感を発揮していけるのか。その意味での最大の注目点は、新生Dell・EMC連合がクラウドサービス事業へ本格的に乗り出すかどうかだと筆者は見る。
現在、法人を対象とした大手ITベンダーのほとんどは、クラウド化のための技術や製品を提供するとともに、自らクラウドサービスも展開している。だが、DellおよびEMCはこれまで自らクラウドサービスを本格的に手掛けていない。EMCは、グループ会社のVMwareが自社環境をベースとしたクラウドサービスを展開しているが、EMC本体では手掛けていない。
果たして、法人向けを対象としたITベンダーとして最大級の規模となる新生Dell・EMC連合は、その巨大な資本力で自らクラウドサービスに乗り出すのか。それともこれまで通り、クラウド化のための技術や製品を提供するベンダーとして、クラウドサービスベンダーやプライベートクラウドを構築するユーザー企業に向けて幅広く事業を展開していくのか。
第3のプラットフォームへ移行するうえで、クラウドは要になる。しかし、ベンダーが自らクラウドサービスを手掛けるかどうかは、今後のIT産業構造がどのようなスピードでどう変わっていくかをにらみ、その中で自らの強みをどう発揮できるかを考える必要がある。その意味では、自らはクラウドサービスを手掛けず、クラウド化のための技術や製品を提供することに徹して幅広く事業を展開するという巨大ベンダーが存在してもいいのではないかと考える。
新生Dell・EMC連合がその立場を踏襲するならば、EMCグループのVMwareの活動はこれまでと変わらないはずだ。今回の発表でもVMwareは引き続き公開企業として存続するとしている。ただ、もし新生Dell・EMC連合が自らクラウドサービスを本格的に手掛けることになれば、VMwareを中軸に据えるのか、はたまた違う方法を採るのかが注目される。
新生Dell・EMC連合がこれから打ち出す戦略やアクションは、今後のIT産業構造の変化を映し出すものにもなりそうだ。さらに、今回の買収劇が競合他社にどのような影響を与えるのか。新たな業界再編につながる可能性も大いにありそうだ。
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