試験直前の大ピンチ! 「4500時間のプロマネ経験」をどうするか問題:女子ヘルプデスクのプロマネ修行奮戦記(1/3 ページ)
えぇぇぇぇぇ〜、4500時間のプロマネ経験? そんなの聞いてないよ! 試験、受けられないかも!! PMP試験が目前に迫る中、大ピンチに見舞われたわたし。過去にタイムスリップして経験を積むしかない!?
これまでのあらすじは
会社でヘルプデスクを担当する私が、ある日突然、在宅ヘルプデスク部門開設プロジェクトのマネジャーに任命されてしまったから、さぁ大変。鬱憤晴らしで飲みに出かけたら、今度は勢いでPMBOK(ピンボック)とやらを勉強するハメに……。しかもしかも! いつの間にかPMP(Project Management Professional)の資格試験を受けることになっている……。私は在宅ヘルプデスク業務のプロジェクトを成功に導けるのか? PMPの試験に合格できるのか? いや、そもそも、受験できるのか?
わたし えぇぇぇぇぇ〜、そんなの聞いてないよ! 試験、受けられないかも!! ここに向かうときには、数時間後、そんなピンチに陥るとは夢にも思っていなかったよ(泣)……。
土壇場で大ピンチ! 試験受けられないかも……
“ここ”は、とある研修室。PMP試験を受けるのに必要な学習時間がe-Learning(15時間分)だけでは足りなかったわたしは、不足分を確保するために3日間(21時間分)の集合研修にやってきたのだ。この研修では、最終日に試験の申し込みを手伝ってくれる。
PMP試験を受ける前には高い高いハードルがある。実際の試験はアール・プロメトリックとかで受けられるんだけど、その申し込みをする前に、英語で申請を出さないといけないのよね。で、「私はそのハードルをクリアしました」とアメリカにあるPMI本部に対して申請する。
PMI本部ではその申請内容が“怪しく”ないかをチェックし、「試験を受ける資格があなたにはありますよー」とお墨付き(?)を与える。このお墨付きがないと、PMP試験の申し込みができないってわけ。
その申請の内容を一言で言うと、「ちゃんと35時間勉強したか」と「どんなプロジェクトに参加したか」というものだ。あ、二言になっちゃった。それを英語で説明しなければならない(まあ、説明といっても詳細に語る必要はないのだけれど)。
今回の研修では、この申請を出すのを手伝ってくれるらしい。わたしにとってはこれ以上ない助け船だ。何しろ、PMBOK以上に英語に疎いんだから。外来語だってアヤシイ。「私は日本人なのに! 理不尽だわっ! 同じ『エーゴ』というなら、“A5”ランクの牛肉のほうが好き!」……。ああ、また、私の頭は変な方向に……。いま、悩んでいたのは、えーと……、そうそう「役割」だ。ひとまず講師に聞いてみよう。
講師 ああ、この「役割」というのは「どういう立場でプロジェクトに参加したか」ということですよ。リーダーだったのかプロジェクト・マネジャーだったのか。
なるほど。えっと、今回、私が担当しているのはプロジェクト・マネジャーだから、それをそのまま英語で入れればいいのね。1つ進むたびに英単語の意味に苦しみ、1つ進むたびに翻訳サイトのお世話になりながら、一生懸命に英語と格闘する。でも結局、試験を受けるために必要な項目を、研修時間内に埋めることはできなかった。
というのも、申請内容は「どのようなプロジェクトに、どのような立場で参加したか」だけではなく、PMBOKでいうところの計画や実行、監視・コントロールなどの各エリアに何時間をかけたのか、というのを記載しなければならないのだ。
思わず、「えぇぇぇぇぇ〜、聞いてないし、そんなの覚えてないよ。というか、まだ計画段階じゃん!」と叫び出しそうになったが、ここは研修室。我慢我慢。あぁ、入力速度と時間の流れが反比例してる……。最後には講師の方から続きは自宅でやるように指示されて帰路についた。
次の日、試験の申請が終わらないまま出社した。夕べ家に帰ってからも、申請は全然進まなかったのだ。確かに試験に関してM君から話を聞いて、それだけの経験が必要だと、頭では分かってはいたんだけどねぇ……。
わたし 36カ月以上、4500時間のプロジェクトマネジメント経験って……。
どうする!? 4500時間のプロジェクトマネジメント経験
私は単なるヘルプデスクスタッフ。まあ、一応リーダーという肩書はあるけれど、開発部隊と違ってプロジェクトなんて初参加なのに……。これじゃ、試験自体受けられないじゃない! ……え? もし、PMP試験自体受けられなかったら、この3日間の研修費用は無駄!? それどころか、今までの苦労も全部水の泡? えーーーーーーーーー!(いやいや、実際には違うのよ、PMP試験に合格するのが目的ではなく、プロジェクトを成功させることが目的で、PMBOKを勉強し始めたのだから。でも、いったん妄想が暴走し始めた頭では、そんなことには気付かないのよ)
朝から何だか落ち込んでしまった。
どんよりとした気分で仕事するのはあまり好きじゃない。「コーヒーを飲みながら気持ちを入れ替よう」って思っていたら、コーヒーなんて必要ないくらい定常業務、つまり、ヘルプデスクの仕事で朝からバタバタと忙しい1日になった。
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