古くなったPCの行き着く先、あなたはどうしますか?:萩原栄幸の情報セキュリティ相談室(1/2 ページ)
ある業界団体での講演後に聞いた雑談でPCの処分方法が話題になった。正規(?)のリサイクルにもっていくか、それとも「無料回収」をうたう業者に任せるのか――。
企業向けを除いて、一般の家庭で使われたPCが古くて使わなくなった。さて、読者の皆さんはどうしているのだろうか。
お役所の人であれば、「それは2003年10月以降に販売された家庭向けPCには『PCリサイクルマーク』が貼り付いているので、無料で引き取ることが決められている」と、模範解答をするはずだ。購入価格に廃棄処理の金額が上乗せされているからである。
廃棄手順は、購入したメーカーに依頼をすると「エコゆうパック伝票」が送られてくる。その伝票をPCに貼って、最寄りの郵便局に持参するか、郵便局が引き取りにくる。その後は郵便局が再資源化センターに送り、そこで資源は資源(金やタンタルなどのレアメタル、その他再利用可能なもの)として再度抽出されて活用し、再利用不可能なものはゴミとして処分されるのである。
当然ながら、PCの中にある個人情報や機密情報などの「データ」や「画像」などは消えるはずだ。情報セキュリティ上は国家が定めた所定の手続きによるものなので、「安心・安全」という訳である。ただし、本当にそうだろうか。
このシステムの欠点は思いつくだけでもいくつかある。
- 処理に時間がかかる
- PCリサイクルマークのメーカーを探したり、連絡先を探したりするのが難しいこともある
- PCリサイクルマークが無い場合(シール自体が剥がれたり、2003年10月以前の購入や、メーカー不明など)には利用者が金を払って処理すること
最近でも近所の老夫婦がWindows 98のPCを処分しようとしたらしいが、2003年以前の製品であるのは明白だったようで、このリサイクルシステムの利用を諦めたという。そもそも重さ10キロはあろうかというデスクトップPCを梱包するだけでも大変だというのが本音だった。
それでは、どうするのか。たぶんご存じの方も多いだろうが、住宅街へ頻繁にやって来て、「無料(一部有料?)でPC、テレビ、ラジカセ……。その他を引き取ります」と大音量で呼び掛ける業者である。
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