ハイブリッドIT環境での運用管理はどうあるべきか:Weekly Memo(1/2 ページ)
企業ニーズが高まりつつあるハイブリッドIT環境について、それに対応した運用管理はどうあるべきか。日本IBMが新たに投入したサービスを見ながら考察してみたい。
IBMがユーザー調査を踏まえて新サービスを投入
「今後、70%の企業がハイブリッドIT環境を利用するようになる。これに的確に対応した運用管理サービスを提供したい」――日本IBMでITインフラソリューション事業を担当する久利建樹 執行役員は11月24日、同社が開いた新サービスの発表会見でこう語った。「70%」は同社のユーザー調査によるものだ。
ハイブリッドIT環境とは、基幹システムをはじめとした従来型のIT環境と、クラウドやモバイルなどの技術を活用した新しいIT環境を連携させた利用形態のことだ。前者を「SoR(Systems of Record)」、後者を「SoE(Systems of Engagement)」とも呼ぶ。
クラウド化を前提に今後のIT環境の構築に取り組む「クラウドファースト」が叫ばれて久しいが、同社のユーザー調査ではハイブリッド利用が主流になるとの結果が明確に出た。これはすなわち、70%の企業が今後も従来型のIT環境を継続して利用するということだ。
この調査結果を踏まえ、日本IBMは「IBM Integrated Managed Infrastructure」(以下、IMI)と呼ぶ新サービスを2015年末より提供開始すると発表した。IMIは企業のハイブリッドIT環境をリモートから24時間の監視・管理を行い、稼働状況の監視や連絡、障害回復の支援やパッチの適用、レポート作成といった業務を行うサービスである。
IBMのアウトソーシングやマネージドサービスなど、グローバル規模での長年の実績や知見をもとにデザインされた、効率化されたプロセスや自動化ツールを活用することにより、迅速なサービス提供やコスト最適化を支援するとしている。
また、必要なサービス機能やその対象を柔軟に選択できるため、ニーズに合わせてサービスを選択することが可能。さらに、サービス開始までの期間を標準で3カ月とし、監視や管理のシステムを新たに構築する場合と比較して短期に監視や管理を開始できるという。
IMIが対象とするIT環境は、サーバ、ストレージ、ネットワーク機器、IBMのクラウドサービス「SoftLayer」、および他社のクラウド環境など(図1参照)。例えば、グローバル企業が海外拠点のIT環境をさまざまなクラウドサービスで展開している場合でも、国内にある従来型のIT環境と合わせて一元化された監視や管理を支援。これにより、運用の効率化だげでなく、グローバルレベルでサービス品質の統一と標準化が可能になるとしている。
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