第3回 「Windows 10」ではパスワードがいらなくなる?:変わるWindows、変わる情シス(1/2 ページ)
マイクロソフトの新OS「Windows 10」。もう使ったという方も、まだ試していないという人もいると思うが、あらためてそのポイントを“マイクロソフトの人”に解説してもらおう。第3回は企業のセキュリティを担保する、新たな認証方法について。
こんにちは。日本マイクロソフトでWindows 10を担当している武藤健史です。前回、山本がワークスタイル改革を導く、さまざまなWindows 10の新機能についてご紹介しましたが(関連記事)、もちろんこれらの機能だけでワークスタイル改革は実現できるわけではありません。
「いつでも、どこでも、誰とでも」仕事ができる環境を作るためには、以下の要素が必要となります。
- 新しいルール作り:いつでもどこでも働くには、就業規則や勤怠管理などの労務管理を新しく構築する必要があります。9時から17時は会社で業務……ではなく、例えばフレックスタイム制度を導入するなどして、自宅や外出先でも業務をしやすい体制を整えることが必要です。
- 生産性の高いツールの導入:外出先でも社内といるときと同じように業務を行えるよう、最新のデバイスやOS、アプリケーションを使うとよいでしょう。
- ユーザーとデータを守るセキュリティ:自由に働くことができるようになれば、さまざまな場面でセキュリティリスクが生じます。その対応策が必要です。
- クラウドにも対応した管理基盤:社外に持ち出した端末を管理するには、OSがクラウド基盤に対応している必要があります。仮に端末を紛失してしまったとしても、遠隔操作で企業のデータやアプリケーションを全て削除できるようになります。
Windows 10で業務が“安全”になる
こちらの2〜4がWindows 10がカバーできる範囲となりますが、今回から複数回にわたって、3つ目の「ユーザーとデータを守るセキュリティ」に焦点を当てていきます。
ワークスタイル変革によって、ユーザーが自由にPCで業務ができるようになると、「悪意のあるアプリケーションをインストールしてしまう」「機密情報を間違えた宛先に送ってしまう」など、さまざまなセキュリティリスクが生まれてしまうのは事実です。
また、自らリスクのある行動をせずとも、標的型攻撃を受けることでマルウェアに感染してしまうケースも珍しくはありません。たとえユーザーが操作を誤ったとしても、OSレベルで全て保護できれば、安心して業務を行うことができる――そんな考え方に基いて、Windows 10のセキュリティ機能は設計されています。
まずは、昨今何かとセキュリティで話題に上がることが多い“パスワード”についての機能をご紹介しましょう。パスワードというシステムは、セキュリティという観点では非常に脆弱と言わざるを得ません。過去にも攻撃者にパスワードが解読され、企業に多大な影響を与えてしまったケースが数多くありました。
ユーザーからすれば、やはりパスワードは覚えやすいものが良いため、自分の名前、誕生日、電話番号といった個人情報に関連するような文字列に設定するケースが非常に多いのです。私のプロフィールを例に考えてみましょう。
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