第9回 オブジェクトストレージをより良く動かすサイジングのツボ:クラウド社会とデータ永久保存時代の歩き方(2/2 ページ)
ここまでオブジェクトストレージを使う前の基礎知識を中心に解説してきましたが、サイジングについても従来型ストレージとは異なるポイントが幾つもあります。その“ツボ”を紹介しましょう。
ネットワークに関する注意点の補足
上記の「スループットの拡張性」で「ネットワークの帯域幅が全体の性能を制限することがある」と記載しましたが、もう少し詳しく解説します。
ネットワークは従来のトポロジーを使う必要性があるため、オブジェクトストレージを構築する際に、スイッチやファイアウオールなどに対して、ハードウェアとその構成が適切かどうかを確認しておく必要があります。なお、ネットワークは幾つかのセグメントに分けて考えます(下図参照)。
クライアントティア側ネットワーク
まずはクライアント側のネットワークです。APIアクセスで、プロキシや認証サービスなどを行います。ここにはロードバランサが使われることが多いのですが、ロードバランサを使わない場合はクライアントティア側の負荷を、どのように空きサーバに配分するかを考慮します。
ストレージティア側ネットワーク
こちらのネットワークは、アクセスティアとストレージティア間のネットワークになります。この帯域もオブジェクトストレージの冗長手法により異なります。レプリケーションを選ぶ場合は、同じデータが3カ所のストレージノードに記録されるため、例えば3Gbpsのデータの書き込みには、3倍の9Gbpsのネットワーク帯域が必要です。
ハードウェア管理ネットワーク
当社の場合なら「iLO」というサーバ管理ツールがありますが、一般的にハードウェア管理ネットワークには高い帯域は求められません。ただし、「ノード数が多くなる」「アクセス頻度が高くなる」といった場合には考慮が必要でしょう。
次回は従来のレプリケーション(単純ミラー)に比べて飛躍的にオーバーヘッドを削減できる技術、「イレージャーコーディング(EC):消失訂正符号」について解説します。
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