イスラエル電力公社、大規模なサイバー攻撃で「マヒ状態」に
イスラエル電力公社が「これまで経験した中で最大級のサイバー攻撃」を受け、コンピュータの多くが「マヒ状態」に陥っているという。
イスラエルの電力供給を管轄する電力公社が大規模なサイバー攻撃を受け、コンピュータ多数が使用不能になる深刻な事態に陥っているという。同国のメディア各社が伝えた。
Times of IsraelやJerusalem Postの報道によると、テルアビブで1月26日に開かれたサイバー技術カンファレンス「Cybertech 2016」で、同国のエネルギー相が「これまで経験した中で最大級のサイバー攻撃」に遭っていることを明らかにした。攻撃は同国が強い寒波に見舞われた25日に発覚し、27日現在もコンピュータの多くが「マヒ状態」にあるという。
エネルギー相は、国家サイバー局と連携してウイルスを突き止め、攻撃は封じ込めたと説明。「この極めて深刻な事態がすぐに収束することを願う。だが現時点ではまだコンピュータシステムは機能していない」と打ち明けた。「サイバー攻撃に対するインフラのもろさと、こうした攻撃から身を守るための備えの重要性を見せつけられた」とも指摘した。
ニュースサイトのYnetは、電力公社のコンピュータを使用不能に陥れたのはランサムウェアだったと伝えている。メールで送られてきたウイルスが公社内のネットワーク全体に広がって多数のコンピュータが暗号化され、身代金を要求するメッセージが表示されているという。
サイバー攻撃がどこから仕掛けられたのかは分かっていない。メディアやネットではイスラム教シーア派武装組織ヒズボラやイラン政府の関与説が取りざたされている。
インフラに対するサイバー攻撃では、ウクライナの電力施設が2015年12月に攻撃を仕掛けられ、停電が発生したと伝えられていた。
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