“コンポーザブル”が次のブーム? HPEが打ち出したITインフラの進化:Weekly Memo(2/2 ページ)
日本ヒューレット・パッカードが「コンポーザブルインフラストラクチャ」と呼ぶITインフラの新たなコンセプトを発表した。果たして何が新しいのか。
ハイパーコンバージドインフラの進化形
ITインフラをコンポーネント化し、自由に組み合わせ可能なリソースプールとして効果的に活用するという発想が、コンポーザブルインフラストラクチャというコンセプトの新しいところである。ただ、この発想はこれまでのITインフラの進化の延長線上にあるという。今回の発表会見での説明の中で、筆者が最も印象深かったのはこの話だ。
果たして、どう進化してきたのか。この点については、大月氏とともに会見に臨んだHPEのニール・マクドナルド HPEシナジー&ブレードシステム コンバージドデータセンターインフラストラクチャ バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーが次のように説明した。
「ITインフラは、かつてのトラディショナル時代には業務ごとに、個別に構築されてきた。それがコンバージド時代になって運用者の生産性を向上させた。さらに、システム配備のシンプル化が進んだ。ただ、ハイパーコンバージドは仮想環境において有効な手段だが、物理環境に対して難点がある。そこで、あらゆる環境に対応できるように進化させたのがコンポーザブルインフラストラクチャだ」
下の図2がマクドナルド氏の説明に基づくITインフラの進化の変遷を示したものである。HPEではさらに2020年頃の商品化を目指して、従来のコンピュータのアーキテクチャを根本から変える「The Machine」と呼ぶ次世代マシンを開発中だが、同氏は「コンポーザブルインフラストラクチャは将来的にThe Machineと統合を図っていく形になるだろう」と語った。
今回の発表からあらためて感じ取れたのは、ITインフラ事業に向けたHPEの強いこだわりだ。同社はパブリッククラウドのIaaS型サービス事業から撤退したものの、ハイブリッド環境に向けたITインフラ事業については一層強化していく姿勢を、今回の発表、さらに次世代マシンへの取り組みで鮮明に打ち出している。これも選択と集中による重要な「戦略」である。
今後、直近では2016年半ばに出荷予定のHPE Synergyが市場に広く受け入れられるかどうかが注目されるところだ。価格は2016年春にも発表するとのことだが、従来のシステムに比べてコストパフォーマンスがどれだけ魅力的な水準になるか。筆者のこの質問にマクドナルド氏は、「十分に競争力のある価格を設定するつもりだ」と答えた。注視しておきたい。
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