第1回 なぜ、いまデータ管理が大事なのか:データで戦う企業のためのIT処方箋(2/2 ページ)
この連載では「データ活用」といった言葉が実ビジネスに結びつきつつある今、本当の意味で企業のITをどのようにしていくべきかを紐解きます。第1回は主役のデータにまつわるお話です。
これまでのITインフラとの違い
先に挙げたチェックポイントは、いずれも単純な機能・性能の観点だけではなく、大きな方針を問う内容になっていることが分かります。
従来、企業のITシステムは業務部門からの依頼に基づいて業務単位で要件を定義し、個別に最適な構成が検討・実装されてきました。その結果として、部分最適ではあるものの企業全体として最適な構成を取ることが難しい状況でした。それが、今は仮想化といったさまざまな技術が定着し、企業規模によらず柔軟なシステムを一つの基盤として用意できる環境へと一気に変化してきています。
今回ご紹介した「データ管理」の観点はSIerに任せるだけではなかなか整理ができない課題です。基本的にはユーザー企業が理解して整理することが求められる内容ですが、これまでは幸いにも(不幸にも?)注目する必要がなかったものであり、「人が増やせない」「IT部門にはハードルが高い」と感じられるかもしれません。
この点は日本の企業文化として定着しているものであり、すぐに変えられないことは各ベンダーやSIerも理解しています。日本市場独特のサービスとして、ユーザー企業と協働することを前提とした部門や場所(コワーキングスペース)、サービスを用意するSIerもこの1、2年で出てきました。まずはこういったSIerが提供するサービスを利用しつつ、みなさんそれぞれの企業規模や文化・体制に応じて、中長期的に自社内で養成するのか、外部とコラボレーションを維持しつつ運用するのかを検討していくとよいでしょう。
これからの連載ではデータ管理を検討する際に必要な項目と選び方、最新事例・技術を紹介していきたいと思います。次回は、本稿でチェックポイントとして挙げた指標について、具体的にイメージできる例を交えてご紹介します。
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