クラウドベンダーに求めるユーザー視点のパートナー戦略:Weekly Memo(2/2 ページ)
大手クラウドベンダーが相次いでパートナー戦略に注力している。販路拡大や多様なユーザーニーズに対応するためだが、果たしてユーザーから見て分かりやすいものになっているのだろうか。
ユーザーから見てパートナー各社の得意分野が分かるようにすべし
杉原氏とともに会見に臨んだアライアンス事業統括の椎木茂副社長は、OPNクラウドプログラムのパートナーにおけるベネフィットについて、「テストやデモ、開発環境の特別値引き提供や、マーケティングファンドの優先的適用、Oracle Cloud Marketplaceへの優先表示など27項目を用意している」と説明。これらによって「パートナーの比類なき成長機会の拡大を推進」「圧倒的な提案力強化と競争力優位を獲得」「既存のOPNパートナー2013社とのネットワークの拡大」を図ることができ、「革新的な差別化になる」と強調した(図2参照)。
日本オラクルではこのOPNクラウドプログラムのパートナーについて、既にクラウド再販契約を結んだ70社や既存のOPNパートナーからの移行、新規獲得を合わせて、2017年度中に500社へ拡大する計画だ。
以上が日本オラクルの新たなクラウドパートナー戦略の概要だが、説明を聞いていて気になったのは、果たしてユーザーから見て分かりやすい内容になっているかという点だ。例えば、ユーザーが「自社に合うソリューションを提供してくれるパートナーはどこか」と知りたいときに、その選択基準が分かりやすく一覧できるように提示されていれば、ユーザーにとっては大いに参考になるのではないか。
この点は、オラクルに限らず、他のクラウドベンダーのパートナー施策にも言えることだろう。こうした視点は、取りも直さずユーザーから見てパートナー各社の得意分野がより見分けやすくなるわけで、パートナーにとっても大いにメリットがあるはずだ。
オラクルの場合、おそらくパートナーにとって革新的な差別化となる前提に多様なユーザーニーズの分析が行われているのだろうが、ぜひとも分かりやすく開示してもらいたい。とりわけ多数のクラウドサービスを提供しているオラクルがそうした取り組みを行えば、IT業界全体に好影響が広がるはずだ。
会見でこうした疑問をぶつけたところ、杉原氏も椎木氏もピンと来たようで、「ぜひパートナー各社の得意分野が明確に分かるような情報提供を行っていきたい」と答えた。大いに期待したい。
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