第3回 データの利用目的別、ハードウェアとソフトウェアの選び方:データで戦う企業のためのIT処方箋(3/3 ページ)
データを利用する目的やその種別によって当然ですが、適切なハードウェアやソフトウェアは異なります。でも、どう選ぶべきかは悩みどころ。今回は具体的な製品やアーキテクチャの選び方をご紹介します。
前項の概要を元に、アーキテクチャごとに提供できるサービスレベルを簡単にまとめたものが次の表2になります。
表2では、レイヤ型システムが何でもできるように見えると思います。これは、主に高いサービスレベルが求められる大規模環境向けに設計されたことで、柔軟かつより広範囲のサービスレベルに対応ができることが背景にありますが、その一方で高機能・高性能を実現するためのコンポーネントのコストが比較的高額になることや、各レイヤを適切に連携させるための知識が必要になります。
日本全体では中小企業が多く、表2にある小・中規模の環境が大半で、かつ限られたITシステム担当者が運用していることが多いのが実情です。できるだけ停止する必要がなく、壊れないシステムを期待するのは誰しも同じではありますが、業務要件から必要なサービスレベルを明確にすることで、レイヤ型だけでなくハイパーコンバージド型システムも選択肢に含むことができ、単純に高機能・高性能をあきらめない、運用負荷の軽い小規模向けシステムを採用することも可能です。
いずれの方式であっても、自動化や省力化が図れるといったメリットは共通です。具体的な製品によっては独自の機能強化などにより、本稿で紹介した一般的な制限や課題を払拭したり、緩和したりしているものもあります。実際の選定では、こういった内容を元にアーキテクチャを決定して選定に入る、または異なるアーキテクチャの製品間での比較基準の一例として参考にしてください。
またレイヤ型システムの発展形として、先に紹介したOpenStackなど、最近は特に認知度が上がってきたソフトウェアを用いて自動化や連携を実現する「Software Defined Infrastructure」(SDI)という方式があります。
SDIには「ソフトウェア」の文字が入っていますが、ソフトウェアで構成しているからSDIなのではなく、ソフトウェアで定義して運用の汎用化、自動化ができることがSDIの要件です。言い換えれば、運用をプログラム化できることで、これまで人手でしていたことをより迅速に効率よく実施するほか、人手ではできなかった特定のイベントをトリガーにした自動運用が実現できるのがSDIです。そのため、ハードウェア製品でもSDIとして連携するためのツールやAPIがあればSDIのコンポーネントになります。ハードウェアとソフトウェア、形は違いますがSDIでは適材適所という考え方が必要になる点は、レイヤ型システムがSDIの実現にあたり、より親和性が高い理由の一つになります。
次回は、このSDIで実現できる新しいITシステムついて、より詳しく紹介したいと思います。
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