警察庁は3月3日、2015年のインターネットバンキングの不正送金事犯の発生状況を発表した。被害額は約30億7300万円で過去最悪となり、特に信金・信組の法人口座の被害が急増している。
被害件数は1495件で、2014年の1876件から減少した。被害が発生した金融機関は223機関に上り、特に信用金庫での被害が前年比70機関増の98件と、金融機関別では最多を占めた。
被害額は都市銀行が約14億4600万円と最も多く、口座別では個人が約9億8700万円と半数以上を占める。これに対し、信金・信組の被害額は約9億4000万で、口座別では法人が約7億1800万円となっている。口座別の被害状況は、個人口座の被害が2014年の約18億2200万円から2015年は約16億700万円と減少したが、法人口座は約10億8800万円から約14億6600万円となり、3年連続で被害額が増加した。
なお、被害額のうち送金の取り消しなどによって阻止できた金額は約4億2700万円あり、実被害額は約26億4600万円だった。阻止率は2014年下半期に31.4%だったが、2015年上半期は10.4%、同下半期は17.4%だった。
被害口座におけるセキュリティ対策状況は、ワンタイムパスワード(個人口座)の利用率が9.7%、電子証明書(法人口座)の利用率が17.2%にとどまり、個人および法人ともこうした対策を利用していない割合が7割前後にも上っている。
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