企業ネットワークをソフトウェア志向に、シスコが新施策
新アーキテクチャの「Digital Network Architecture」を発表し、企業ネットワークへのSDNやネットワーク機能仮想化などの適用を推進する。
シスコシステムズは3月14日、企業ネットワーク向けの新構想や製品展開などについて発表した。新アーキテクチャの「Digital Network Architecture」に基づいて、ソフトウェア定義型ネットワーク(SDN)やネットワーク機能仮想化(NFV)といったソフトウェア志向のネットワーク環境を実現する仕組みを展開していく。
Digital Network Architecture(DNA)は、企業が求めるセキュリティやコンプライアンス要件を満たしつつ、インフラ層の仮想化とネットワークの展開や制御、管理などの自動化、オープンAPIなどを利用したクラウドアプリケーションとの容易な連携を実現するという。
DNAに基づくソフトウェア製品としては、シングルインスタンスで最大4000台のデバイスを運用できるというコントローラ「APIC-Enterprise Module プラットフォーム」をリリースする。10クリック操作でWANを導入できるという「Cisco Intelligent WAN」や、アプリケーションのポリシーに基づいてQoSを自動設定する「Easy Quality og Service」を先行提供し、5月にルータやスイッチの導入設定作業を自動化する「Cisco Plug and Play」機能を投入する。
また、ネットワーク機器向けOS「Evolved IOS-XE」ではソフトウェアベースのネットワーク制御や管理、アプリケーション連携などのためのオープンAPIを提供するほか、物理・仮想環境で利用できるルータ、ファイアウォール、WAN最適化、WLANコントローラなどの機能がNFVとして用意されている。3月14日時点では大規模環境向けスイッチのCisco Catalyst 3850/3650やルータのCisco ASR 1000、Cisco ISR 4000で利用でき、サポート製品を順次拡大するという。
同日の記者会見に登壇した米Cisco System 上級副社長兼最高デジタル責任者のケビン・バンディ氏は、ビッグデータ分析やIoT(モノのインターネット)の出現を背景に、ITやサービスを駆使する企業の新しいビジネス(当社では「ビジネスのデジタル化」と呼んでいる)モデルが広がりつつあるとし、企業のシステムやネットワーク環境もこれに応じたものへ進化させる必要性を提起した。Cisco社内ではバンディ氏が中心となって、ビジネスのデジタル化に即した業務プロセスの改革などに取り組んでいるという。
また副社長 マーケット戦略担当のエリカ・グラッデン氏は、DNAに関して同社が先に掲げたソフトウェア定義型のデータセンターインフラ(SDIもしくはSDDCと呼ばれる)を実現するというアーキテクチャの「Application Centric Infrastructure(ACI)」を補完するものだと説明した。SDIは、NTTドコモなど主に通信事業者やデータセンター事業者などの大規模システムで採用が始まり、今回のDNAはこれを一般企業へ広げる狙いがあるとみられる。
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