警察庁が3月24日に発表した2015年の不正アクセス状況によると、認知件数は2051件で初めて減少に転じ、検挙件数は2000年の不正アクセス禁止法施行後としては過去最多になった。
認知件数は、2014年に無料通話アプリでのなりすまし事件が多発したことから3545件を記録したが、2015年は認証強化策によって減少に転じたという。検挙状況は件数が373件、検挙人員が173人。手口では正規ユーザーの設定や管理の甘さに付け込んでID・パスワードを盗むものが35.3%で最多を占め、ネット上に流出したり公開されたりしたID・パスワードを悪用するケースも17.2%あった。
不正アクセス後の行為の内訳は、オンラインバンキングの不正送金が全体の74.6%を占め、ネットショッピングでの不正購入(8.1%)とオンラインサービスの不正操作(4.7%)、メールの盗み見など(4.5%)と続く。不正利用されたサービスはオンラインゲームやコミュニティサイトの35.0%を筆頭に、メール(19.3%)、ネットショッピング(16.3%)、オンラインバンキング(9.1%)の順に多かった。
警察庁では今後、犯罪組織や犯罪インフラとなるサーバなどの積極的な取り締まりと、不正アクセス防止に向けた啓発を推進するとしている。
関連記事
- 第19回 過去10年の「情報セキュリティ10大脅威」にみる戦いの歴史
IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2016」が例年より早い2月15日に公開(順位のみ)された。今回はこの10大脅威の過去10年間の変遷を見ながら、現在の情報セキュリティをおける本当の脅威は何なのかを紐解きたい。 - 2015年注目のセキュリティ事件、トップは年金機構攻撃 専門家の見方は?
社会人の印象に残ったセキュリティ事件では6割以上に認知された日本年金機構へのサイバー攻撃がトップだった。しかし、調査したマカフィーではランキング外の脅威を挙げる。 - 国内3000サイトに不正広告、50万人にウイルス感染の危機
9月に閲覧者のコンピュータの脆弱性を突いて不正プログラムに感染させる攻撃が発生していた。 - 情報セキュリティ事件の2015年総まとめ
2015年も残すところ1週間を切った。今年もさまざまな情報セキュリティ事件が起きたが、筆者が気になった事件を振り返ってみたい。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.